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キスマーク
【女性向け 官能小説】

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☆☆-1

私は身体ごと、しずかの胸元に抱きしめられて
柳下くんから遠く離されていた。

「だろ。俺のだから。余計なちょっかい出すなよ」

声は冗談めかしてるのに
目が笑ってないよ。しずか。

「分かってますよ。加藤さんの事を名前で呼ぶ女性に興味があっただけです」
「そんな興味は捨てろ」

柳下くんはしずかの独占欲発言に笑うと「トイレに」と言って席を立った。

その間に、しずかはお店の大将を呼ぶと
何やら話していて
明らかに二人分より多い紙幣を渡していた。
へ〜。太っ腹。

靴を履く目の端でそんな行為をとらえて
履き終わると柳下くんが席に戻ってきた。

「じゃ、またいつかラッパの話しようね」

良い気分でフワフワするから
思わずしずかの腕に自分の身体を巻きつけた。

「じゃ、俺ら帰るから」

そう言うと席のあちこちから
「え〜」
なんて声が上がって、
それは明らかに私への不満も入っている。
私が来なければしずかはお開きまで一緒にいたんだろう。

「二人にさせて」

なんておどけて言うけど
しっかり私の肩を抱きよせた。

そのままお店を出て
少しも歩かないでタクシーを止める。

あぁ。この地名はしずかのマンションか。

運転手に行き先をいうしずかの声を
うっすらと聞いていた。


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