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渚 一景
【その他 官能小説】

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黒い瞳-3

 上に跨った少女を抱えているうちに、ぼくの両手は彼女の短パンを潜って尻に触れ、桃割れから奥へと差し込まれていった。
(お尻だ……お尻だ……)
まろやかな、ぷよぷよの尻を摩り、肉を揉んだ。
 少女が上下に体を動かし始めたのはなぜだろう。
(カンジテきたから?……)


 とっくにぼくの股間は漲っている。
「ふう、ふう、ふう」
少女の息が吹きかかってくる。甘酸っぱいにおいがする。ぼくの息とぶつかって、またキスをした。

「可愛いね」
「ありがとう。うれしいわ」
「好きだ……」
「あたしも……」
「ほんとに、好きなんだ」
「あたしだって、好き」

身を起こした少女がシャツをたくしあげた。揺れるほどもない膨らみがぽろんと現われた。
「ここがねーー」
乳首を指さして、
「なんか、くすぐったくなってきたの」
言いながら胸を近づけてきた。
『舐めて』とは言わない。性的本能とでもいうものだろうか。そこから生まれる刺激への期待があったのだろうか。

 豆粒ほどの乳首が眼前に迫る。桃色の乳輪には鳥肌みたいなつぶつぶがあった。
口を開けて舌を伸ばすと少女はぼくにかぶさってきた。
「ああ……」
初めて洩れた彼女の甘い声。
乳房の柔らかさ。小さくてもその感触は柔肉としてぼくの顔に密着する。
 口の中で突起が舌と戯れる。
「はあ、はあ」と少女が喘ぎ、その高まりに呼応するように、ぼくの両手は短パンを押し下げていく。少女も尻を上げ、腰を捻って合わせてくる。
 尻が丸出しになって少女を抱えて反転した。
(アソコが見えるはずだ)

(ああ……)
昨日水着に浮き出ていた秘部が差し込む陽光に輝いた。
 火照った少女の顔には仄かなやさしさが感じられた。脚を少し上げたのは脱がせて、ということだ。
 
 膝を立てて開かれた股間。亀裂に釘づけになった。
陰毛はまったくない。滑らかで匂い立つような白い素肌が膨れて割れている。
 少女が膝を折ったので口が開いて赤い内部が覗いた。
「見える?」
「うん……」
「ふふ……」
「おまんこだ……」
思わず呟いていた。言ってから恥ずかしくなった。
「男子はそういうのね」
「女子は?」
「ふふ……おまんこ……」
少女の微笑みはぎこちなく歪んだものになっていた。

 開いた股間と対峙する張りつめた空気は音がなく、時が止まったように思えた。
ぼくはズボンを膝まで下げると少女に重なっていった。
「好きだ」
「好きよ」
ペニスはさ迷った。平静を装いながら、上体を反らせて下半身を突き立てた。
(ああ、感じてくる)
先端が裂け目に食い込んだのは弾みのようなものだったと思う。

「あ……」
「あ……」
同時に声を上げた。
 圧迫の感じで亀頭がめり込んだのがわかる。押し上げるとさらに強い圧迫に包まれて詰め込んだ感覚になった。
「ああ!」
「グゥ!」
少女の顔が真っ赤になって首筋の血管が浮き出たのには驚いた。可憐な少女の顔ではなかった。
「あううう!」
のけ反ったいたいけな少女の細い体は引き攣ったように慄いた。

 性急に昇り詰め、ぼくは呆気なく射精した。ただ、その放出は全身を煽るほどに凄まじい勢いだった。
「あう……」
ドクン、ドクン……。
少女の体に被さって震えた。

 急に蝉の声が聴こえ出した。たぶんここに来た時から鳴いていたのだろう。
 間もなく、快感の欠片を吐き出してペニスが抜け落ちた。少女の胸が上下して、息遣いが忙しなく耳に流れてきた。
(初めてのセックス……)
鮮烈な体験のはずなのに昂奮の波が去ってみると感動よりもふわふわと漂う心地を感じていた。
(ぼくはどこか遠くに行って知らない町を歩いている……)
ふと、そんなことが頭をよぎっていった。
 
 
 少女を横抱きにして、どれくらいそうしていただろう。彼女も痛いくらいぼくの腕を掴んでしがみついていた。
 少女の息づく肉体がいま自分の胸にある。顔を覗くと黒い瞳が瞬いた。
「ちょっと、痛かった……」
少女の目尻に一滴、涙の流れた跡がある。
「痛かった?」
「うん……」
「ごめんね」
「ううん。そんなに、痛くなかった……」
無理に笑ったような笑顔がとても幼く見えた。

「あたし、明日帰るの」
「明日……」
「もう会えないね……」
「家は遠いの?」
「横浜」
ここから車なら二時間ほどだろうか。ぼくの家からだとさらにかかる。だが距離や時間よりも行ったことがない町のイメージがとても遠く思えた。

「もう会えないね……」
少女は悲しそうな顔で繰り返した。
「会えないことはないけど……」
彼女に会いに行く自分を想像して、それは意外と簡単に出来そうにも思える。
「またこっちに来るよね。来年の夏」
「わかんない」
「おばさんの所に遊びに来ないの?」
「おばさん、東京に行くかもしれないの。息子さんと住むみたい。だから引っ越したら誰もいないし……」

(会えない……)
話を聞きながらも実感はなく、遠い感じで聞いていた。初めて結ばれて抱きしめている少女の体の温もりを受け止めながら、この子がいなくなってしまうことに考えが及ばなかった。
「明日何時に帰るの?」
「午前中。もう切符買ってあるの」
「また会えるよ」
「うん……」
(いつでも、会える……)
何の約束もしていないのにぼくはそう思って少女の唇に想いを重ねた。



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