ケッチャク-9
「テオちゃんのせいっ!!」
「んだよいきなりっ!しかもちゃん付けに戻ってっし!」
やり場の無い気持ちは怒りとなってテオにぶつけられる。
「とりあえずヤッてみろとか言うから、ランス様ったらその気じゃないのっ!!」
「言ったのは確かだが行動したのは自分だろっ!無茶苦茶よがり狂ってたクセに何が不満なんだ!」
「身体の相性は良かったわよっ!テオちゃんより硬くて反り返ってすっごく気持ち良かったわよ!」
「んなモン比べるなあっ!」
「まあまあまあ」
コソコソと言い合いをする2人の間に割って入ったパルは、ポンポンとリュディの肩を叩いた。
「でも、好きなんでしょ?」
真正面から覗いてきたパルに、リュディはぐっと言葉を飲み込む。
「何を躊躇ってんの?好きなら好きで良いじゃん?」
「でも……ランス様が思ってる程……私、綺麗じゃない……」
自分の手は血にまみれている……と、リュディは両手を強く握った。
「綺麗か綺麗じゃないかはお前が決める事じゃねぇよ?何もかも知ってて、そのうえでアイツが綺麗だっつうんだから綺麗なんだよ」
「でも……」
「ついでに、妃に相応しいかどうかもお前が決める事じゃねぇ。ランスとノアがお前が良いっつってんだから、それで良い」
悩んでいる事を次々と解決され、リュディは握っていた両手を離して組み合わせた。
「……ランス様は……私の身体が魅力って……」
「うん♪」
「私……凄く嬉しかった……」
「ああ」
「結婚とか別にして……一緒に居たい……」
『ピ♪』
「……吸血蔦の事……解決したら……ファンに行く」
リュディの決意にテオとパルは顔を見合わせて笑う。
「ま、元々行くつもりだったしね♪」
「うん……でも……両性具有の身体は……そのままで良いかも……」
ランスが魅力的だと言ってくれてるし……ただ、体内の植物はどうにかしないと危険だ。
「何年かかるか……分からないけど……」
色々解決してからランスとの事は考えよう……リュディは2つの事は同時に出来ないのだ。
「それで良いと思うぜ?」
そう言ったテオは腰に挿してある2本のサバイバルソードを抜き放ち、遠くに微かに見える植物を見据えた。
「まずは……アイツからだっ!!」
テオの言葉に、リュディ、パルそしてピィは力強く頷いた。