ケッチャク-2
「ぉはようございます、リュディヴィーヌ」
「はい……おはようございます……と言っても……まだ、暗いですけど……」
ランスはリュディに乗っかったまま窓に目を向け、空の色を確認……。
「……何をやっているんだい……」
……しようとして、呆れた声を出した。
「え?」
リュディも窓に視線を向けて、目に映ったものにビクリと身体を強張らせた。
窓一面に、巨大な目があったからだ。
「……パル……」
いったいいつから覗いていたのか……巨大な目の下には、テオの黒髪がチラチラ見えていた。
『ぁ……えっと、えっと……何時に出発に……する?』
それを聞きに来たんだよ?決して覗きが目的なんじゃ無いんだよ?
と、言わんばかりだがどこからどう見ても覗きだ。
「……10時」
『う、うん。分かったぁ。じゃあ、えっと、ごゆっくり?ね?』
パルはもぞもぞと方向転換し、窓辺から姿を消す。
途端に部屋が明るくなり、とっくに陽が登っていた事を部屋の中の2人に教えた。
『ちょっとぉ!テオずるいっ自分だけ隠れるなんてぇっ!』
「わっ!馬鹿!大声出すなっ!」
外から聞こえる会話を耳にしたランスとリュディは、繋がったままクスクス笑う。
「覗かれてしまいましたねえ」
「ふふ……ですね……」
ランスは王子様なのでプライベートなど有って無い様な環境で育っているので気にならない。
リュディもあの2人には散々あられもない姿を見せているので気にしない。
2人は挨拶の軽いキスを交わすと、名残惜しそうに結合を解いた。
「最高の夜で、最高の朝です♪リュディヴィーヌ♪」
「……私も……でも……」
「ああ、勿論。身体を繋げたからには妃に成れなどとは言いませんよ。私は貴女の全てが欲しい。貴女が望まないなら無理強いはしません」
ランスの言葉にリュディは安堵する。
確かに両性具有の自分を抱けるかどうかで彼の本気を確かめたリュディだったが、妃となると話は別だ。
ランスの事は好きだが、結婚自体まだ考えられない。
「そういえば……貴女の事を良く知りませんねえ。まずは貴女の事を聞かせて下さい」
リュディは気だるい身体を横向きにして、ランスを見つめる。