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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ケッチャク-11


 早速、領主の舘まで移動した一行は民達への説明を警備隊に任せて見張らしの良い棟に登った。

「あれ?テオじゃん?」

 そこには以前一緒にバイトをしていたレンジャータイプの冒険者が居た。

「よっ久しぶり。通りすがりの植物学者に捕まってな。吸血蔦を枯らすの手伝えってよ」

 適当な事を言ったテオに、レンジャーは成る程と頷く。

「やっぱ吸血蔦か……似てるけどデカ過ぎだよなって思ってたんだよな」

「遺伝子操作でザルスと組み合わせられてるらしいぜ?」

「誰だよんな馬鹿な事考えた奴ぁ?!」

 馬鹿とか言われて密かに傷つくリュディに苦笑しつつ、テオは話を続ける。

「まずは泉に水分補給に来るだろうって。その後、あっちの砂丘に行って季節風を待って種を飛ばすんじゃないかなってのが、この植物学者さんの考え」

 親指で指されたランスはレンジャーに軽く頭を下げた。

「ふうん……じゃあ、いっこ付け加えて」

 レンジャーは吸血蔦の居る地区を指差して、そっちを見るように促した。

「確かに、アンタの言う通りこっちに向かってる。でも、ただ向かってるだけじゃない」

 レンジャーの指差した場所からは、もうもうと砂煙が立ち上がり、その合間から緑色の蔦が見える。

「吸血蔦はあちこちから水分を吸って移動してる。建物や中にある布……そして生き物からな」

 レンジャーはズボンを捲って自分の足首を見せた。
 レンジャーの足首には焦げたような跡がついている。

「さっき、子供助けた時に巻き付かれたらコレだ。吸血蔦が居る辺りの砂煙すげぇだろ?あれ、多分だけど水分吸われた建物とかが砂になって崩れてんじゃねえかな?」

 建物に使われているレンガや、布などにも多少は水分がある。
 それを吸い付くしているのではないか?と、レンジャーは指摘した。

「泉の水だけで満足すりゃあ良いけど……」

 泉の水で足り無ければ周りから水分を吸収するだろう。
 そんな時、最適なのは身体の6割は水で出来ている人間だ。

「下手すりゃ避難所襲うって事か!」

 テオは頭を抱えて唸り声をあげ、ランスは顎に指を当てて考える。

「ふむ……今から逃げても遅いか……なら、迎え打つしかないねえ」

 ランスはニヤリと笑みを浮かべ、テオとレンジャーはそう来なくっちゃ、と指を鳴らした。



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