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命令チップ04
【SF その他小説】

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休戦-1


「痛い……どこか折れてるよ」

体中の痛みが激しくて、本当に折れてるのかすら分からない。

逃げた公園のベンチから夜空を見上げた。

ジジッジジッジジッジジ……

「痛みが引けばスイッチが安定するのだろうか……」

スイッチはまだ押せないでいる。

飛び降りる恐怖を味わいたくなくてスイッチ切ったのが間違いだった。

「回復すれば、今度は失敗しない、僕には距離は関係ないんだから……」

立ち上がり、公園の水道で顔と手についた血を洗い流した。

「血のついた服では歩けないな、はずかしいけど……」

服を脱いで裏返しにすると血は目立たなくなる

「これなら変わったファッションだと思うだろ」

ズボンも裏返しにした


結構歩ける、折れてる所はないようだ。

これだけひどい怪我で歩いていても、すれ違う人達は無関心なのはすごい

影山に追いつかれる恐怖を感じながらも、どうにかカプセルホテルに入れた。

「このまま布団に入ったら気を失うかもしれない」

そう思い、体に鞭打ってシャワー室に入り、温かいシャワーを頭からかぶった。

腫れた目から水滴が床に落ちて、血の混じった水が排水口に流れてる。

体の痛みが、やがて傷口の痛みに代わってきたところで、シャワー室を出た。

足が棒のようになり宙に浮いた感じのまま、カプセルの布団に倒れるように寝た。

熟睡から痛みで目開けると、カーテンが全開だったので閉めて、もう一度寝た。


次の日になり、布団から起き上がるのが大変だったけど、

布団に正座し正面にある小さなTVを見た。

「ブラウン管だよ……動くのか?」電源を入れる

真ん中から上下に開くように映像が映しだされると、

ニュースをやっていて、美人が真面目な顔で話している。

映像は、後ろのブルーシートから上に移動すると、高いビルを映した

「……この高いビルから飛び降り自殺をはかった男性を、かばうように身を投げ助けた人達、
 まるで人間クッションのように重なり男性を助けたと、目撃した人が言っています。
 下にいる人達は残念なことに圧死したそうです……」

昨日の事がニュースになっていた。

「自殺した男性とは別に、沢山の人達に暴行を受けてる男性や、手から骨が出ている男性の目撃情報もあります、
 暴行していた人達は誰も記憶がないそうです、怪我した人達は近くの病院に搬送され警察の調書を受けています。」

「影山も病院かな?」

ジジ……ジジ……ジ

スイッチはまだ治っていない、見える時間のほうが少ない気がする。

「治るまで待つか、それよりお腹すいた……」

どんな状況でもお腹はすくもんだ、と誰かが言ってたのを思い出した。


売店でパンを買っくる

ジジ……ジジ……ジ

「うるさいなぁこのスイッチ」

見え隠れするスイッチをうっとうしく思いながらパンをかじった。

ブーン ブーン 携帯のバイブ音

久々に携帯がなったので見てみると篠原先輩だった。

ピ!

「ども…」

「お!繋がったよ、元気か?」

「元気でもないです」

「そうだよな、昨日エンヘルで亡くなったキャスト達の追悼会やったぞ」

「追悼会ですか」

「ああ、不幸を金儲けにするのはどうかと思ったけど、
 怖そうなおっさん達が声だして泣いてさ、意外に良かったよ」

「そうですか、出れなくてすみません」

「いや、大丈夫だよ、出席出来ない奴も多かったし」

「みんなは大丈夫ですか?」

「ああ、それなんだけど、みんなで明日病院に見舞いに行くんだけど、お前も来るか?」

(見舞いか……外出は控えたいけど、さすがに通夜にも出ていないんじゃ、人としてダメだろ)

「見舞い行きます。 何時頃に行きますか?」

「13時だよ、現地集合ね」

「了解しました、何か持って行きましょうか?」

「いいんじゃね、オーナーが豪勢なの用意してるみたいだし、身一つで来いよ」

「分かりました」

「んじゃ明日な、とはいえ無理すんなよ」

「はい、大丈夫です、それでは……」

ピ!

「明日かぁ……顔の腫れ引くかな?」

鏡に映る目の上の腫れが気になる

その後、銀行でお金を降ろして、安いスーツを買った。

血の付いた服はコンビニのゴミ箱に押し込んだ。


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