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命令チップ04
【SF その他小説】

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休戦-2


次の日、

地下鉄を走る電車のマドをみて、

見た目安そうには見えないスーツを整える

顔の腫れは痛くはないけど、痛そうだ。

店の人達が入院しているのは、僕達が最初に運ばれた病院だった。


「みんな来てるかな?」

病院の中に入りキャストの病室を尋ねる。

3階廊下の奥にある個室のドアを開けると

スーツを来た人達と病人が集まっていた。

「お、幹夫、大丈夫か?」オーナーが心配そうに話しかけてきた。

「はい、腫れは引かないけど、痛みは無いです」

「それにしてはひどい状態だな」

「そうだよ、あんたの方が重症に見えるよ」

ベッドに座っているキャストが冗談交じりに言ってくる。

「さくらさんは大丈夫ですか?」

「あたし? うん、誰が教えたのか、常連も来て花だらけだよ」

確かに、部屋には花や果物が沢山あった。

「さすがナンバー2だな」とオーナー

「冗談じゃないですよ、スッピン見られて客が遠のいたらどうするんですか」

「はは、そうだな」

ハハハ……

松葉杖ついてる黒服がオーナーに話しかける。

「これから店はどうするんですか?」

「ん? 店は続けるよ」

おー おー

「とはいえ、あのままじゃ皆嫌だろうから、全面改装だな」

「全面改装なら、ソファーとか変えてほしい」見舞いのキャスト言う

「ソファーね、分かったよ、新装オープンは2週間ぐらいかな? それまでに皆治りそうか?」

「うん、大丈夫だよ」

「そうか、オープンまでに元気でいてくれよ」

オーナーは個室のマドを開けて外を見た。

部屋に新鮮な空気が流れてくる。

しばらく改装の話で盛り上がっていると、

オーナーは思いだしたように横の黒服の肩に手をのせて

「そういえば、お前シャンパンコールするんだよな?」と言い、

男は嬉しそうに

「あ、はい、やりますか」と言った。

それを聞いたさくらさんは「マジ 嬉しい」と喜んでいる。

黒服は足元の袋からシャンメリーと紙コップを取り出し、

「ソーダですけど、病院なんで」と言い注いだ。

黒服はマイクを持った風の手を口に近づけてると、

「えー ホストではないですが、みんなの一日でも早く退院できるようにシャンパンコールしたいと思います」

いいねー 聞きたーい

男達は申し合わせたように病人やキャストを囲った

「はいなんと、

 はいこんな(ハイ)

 素敵な姫が(ハイ)

 怪我したよ(ヤバーイ)

 早く(早く)

 退院(退院)

 しておくれ(ヤハーイ)

 従業員(ハーイ)

 持ち上げて(ハイ)

 上げていこうかシャンパンコール」

周りの黒服はさくらさんを抱えだした

「え、なに?なに? どうしたの?」

ちょっと困った顔のさくらさんを無視して黒服は続ける

「はい、とーんでとんでとんで、とーんでとんでとんで、とんで(ワッショーイ)」

「何言ってんのよ、おろしてよ」

男達はコールしながら、さくらさんを抱えて窓に向かっている。

とーんでとんでとんで、とーんでとんでとんで

「うそでしょ、やめてよ、オーナー止めてよ」

窓辺で落とされまいと暴れるさくらさんを他の人達は呆然とみていた。

僕は慌てて抱えている黒服を掴む

「ちょっと皆さん、止めてくださいよ」僕一人の力では止められない。

「やだ、やめて助けて キャ!」

窓からさくらさんが投げ捨てられた。

「何てこと、してんですか!」

外を見ると、さくらさんは頭から血が流して動かない。

「はい、次いくよー(ハーイ)」

男達は次のキャストを抱えると、そのキャストは我に返る

「え?どうなってるの? 何してんのよ」

これは!

影山だ! 近くにいるんだ

「やめろー」

止める僕をオーナーが背後から抑えると

「お前なら止められるはずだろ? なんで止めない?」

オーナーの口を使って影山が話しかけてきた。

「ちくしょー!」

ジジ……ジジ……ジ

「スイッチ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ……」

せーのハーイ! きゃあああ!

「まただ! スイッチ出ろ出ろ」

「はい、次(ハーイ)」

「え?なにしてんのよ!」

せーのハーイ きゃああ!

「やめてくれー スイッチ出ろよ!出ろ!出ろ!」

足を踏み鳴らして

神経を集中するとスイッチが消えにくくなった。

「今だ、スイッチオン」

とたんに全員止まる。

窓際にいたキャストが外を見て驚く

「キャーさくらさん達が死んでる!」

みんなが窓に集まり下を覗いて騒ぎ出した。

説明したいけど、いまにもスイッチが消えそうでゆっくりと個室の出口に向かった。

(影山がいる……どこだ?)

影山に侵入し目を開けた。

1Fロビーだ、手足に包帯をしている。

プン……切れた

「やばい」振り向くと窓から皆が無表情で飛んでいく

「もう一度だ! スイッチ来い 来い」

目の前をお年寄りが全力疾走で走り抜けて廊下の突き当りのマドを割って飛び降りた。

「うそだろ……」

廊下を次々と病人が走り出す。

「ダメだ直接1階に行くしか無い」

僕は走り階段を駆け下りる。

すれ違う人は口から血を出して倒れ出した。

「くそー最悪だ! かげやまー!」


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