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少女剣客琴音
【歴史物 官能小説】

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卑劣な罠-1

多田琴音は乱雑な墨書きの書状を見て、困っていた。

多田琴音殿 
回状を見て返答を請う。如何や。 また勝負に敗れた折には貴殿の婿として迎えること確約されたし。       
            春日一刀流 免許皆伝 黒田 玄武

同じく添えられていたのは回状であるが、これは版刷りしたものだった。

各剣術流派道場主
拙者春日一刀流の継承者の1人として今より三月後の○月△日、筑島藩の御前試合を勝ち抜き剣術指南役に就く所存である。
だが筑島藩において家臣多田監物の娘なる琴音と申す者が、わが春日一刀流の道場に乗り込み目録を持つ者など数名を卑劣なる手段で打ち負かし、それを吹聴して廻るというけしからん所業に及んでいると聞く。
これは春日一刀流の名誉に関わること故、藩主筑島候の御前で汚名を返上したい。
それ故拙者が見事御前試合に勝ち残った暁にはその後で多田琴音と対戦して打ち負かし、我が流派の強さを藩の内外に示したいと思う。
くれぐれもこの試みに横槍を入れることなきよう警告する。
なお、この回状は多田琴音本人にも届けていて、挑戦を受けるか否かの返答を迫っている。
当日現れなかった場合わが一刀流に恐れをなして逃げたことになる。
そのことを広く後世にまで伝えることを望むものなり。
                     春日一刀流 免許皆伝 黒田玄武

琴音は頭を抱えた。
これは悪賢い果たし状である。
父監物の勤める筑島藩の指南役が引退する話は耳にしていた。そして広く各所の剣客達に呼びかけ、御前試合をして指南役を決めることも。
自分が必ず御前試合の最後の勝者になる自信がなければ、こんな書状を書かないだろうし、このことを藩の内外に広く喧伝することもないだろう。
藩の指南役といえば、父監物よりも石高が上であり、玄武がそうなればどんな嫌がらせをしてくるか分からない。
断れば琴音が恐れをなしたと藩の内外に広めるだろう。受けても敗れれば指南役の実力を世に知らしめることになる。
それどころか無理矢理縁談を承諾させるよう迫って来るに違いない。
これはどうしたら良いのか? 全て桜庭道場にて9人を負かして春日一刀流に恥をかかせたことへの意趣返しなのか。
このやり方は全く卑怯であり、我が家門の名誉を汚すものである。
この書状は半月前に届いた。そしてこの内容とほぼ同じものが藩の内外に出回っていると聞く。
だが琴音にはどうしたら良いのか未だ決めかねているのだ。父監物はどちらでも琴音の思うようにせよ、と言う。
だが結果次第で父にも家にも迷惑をかけることになりそうなのだ。
黒田玄武のことを伝え聞くと春日幻斎の4人の弟子の中で3番弟子なれど剣の実力は一番だと聞く。
また噂によると無類の女好きで30半ばであるであるとも。
婿に入ろうとしているところを見ると、未だ独身であろうか。
酒癖が悪く、酒の上の口論で人を殺めたこともある。
玄武のことを知ろうとするとそんな悪い噂ばかり耳に入るのだ。
もし試合をして自分が敗れた場合、自分を嫁に望んだとしたら……そこまで考えると怖気で震え上がる思いになる。
 


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