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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第4章 会合-9

 「えっと〜、あたし達今、鳳学院の噂の真相に迫る、って特集を企画してまして、校内の噂話を調べてるんです」
 「まぁ、それはどのような企画ですの?」
 「はい、火のない所に煙は立たぬと言いますか。噂って真偽のほどはともかく、必ず出所があるわけですよね。その出所を探って、噂が本当かどうか確かめようって企画です。そこで、校内事情に詳しい生徒会長にお話聞きに来たんですけど、この手の事って前生徒会長の綾小路先輩もお詳しいですよね。お二人にお伺いしてもよろしいですか?」
 あたしは好奇心を前面に押し出して、さも興味がありそうな顔をする。もちろんこんな企画はでっち上げで、売春組織の話を聞きだすための伏線に過ぎない。ただ、相手は心理戦に長けた綾小路家のご令嬢。逆にこっちの企みを見抜かれては元も子もない。だから本当にこんな企画を打ち立てたつもりになって、本心をその奥に引っ込めるのだ。
 「ええ、構いませんわ。九条会長もよろしいかしら?」
 「‥ああ、そうですね、もちろん喜んで協力しますよ」
 おや〜?爽やかな笑顔で応じる九条会長だが、こちらはしおりんと違って感情がだだ漏れだわ。
 笑顔は、どう考えても無理して作ってる感じね。しかもわざとかどうか知らないけど、目が全然笑ってないわよ。睨むような目つきは不愉快さを称え、イライラした感じが伝わってくる。言葉にも投げやりな響きが滲んでるし、さも厄介者扱いされてる感じだわ。
 普通なら居心地の悪さを覚えるものだが、あたしにとっては願ったり叶ったり。怒ってる人間ほど本音を吐きやすい者はないのだ。しおりんだけならどうにもならなかったかもしれないけど、こっちをカモったほうが真相を引き出せそうね。
 「ありがとうございます、あっ、いつものことですけど録音させて頂きますね」
 二人の了承を得るより先に、あたしはポケットから取り出したICレコーダーをテーブルの上に置き、勝手に椅子の一つに座る。さも空気が読めない風に明るく振舞うのは、イライラを募らすため。どうやら九条会長はこちらの思惑にはまってくれたみたい。
 「それじゃまず最初に、西園寺グループ脱税疑惑の噂があるんですけど、御存じですか〜?」
 あたしは九条会長に矛先を向けて、まずは様子見の質問から尋ねてみる。ところが、世事に疎いかと思いきや、意外にまともな答えが返ってくる、
 「それは西園寺グループ系列の、西園寺メディカルに国税庁の査察が入った時の噂でしょう。確か二年前だったと記憶しています。しかし査察の結果、健全であることが証明されましたし、いずれにせよ学校法人である鳳学院の運営とは何の関係もないことですよ」
 へ〜、ちゃんと知ってたんだ。さすがは企業の御曹司。でも、ちょっと蔑むような口調が気に入らないわね。それに何だろう?さっきからチラチラとしおりんの方に目を向けている。
 「九条会長のおっしゃる通りですわ。これは貴方がたが入学する前の話ですが、当時西園寺メディカルのライバル企業、神谷製薬の御子息が在学しており、その方が噂を広めたようです」
 九条会長の視線に気づいてないのか、もしくは気付いてて無視してるのか。しおりんは相変わらずの穏やかな調子で補足をくれるが、ふと彼女の目に、厳しさを増したような雰囲気を感じ取る。


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