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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第4章 会合-10

 彼女の視線の先を追うと、あたしは思わずぎょっとした。さっきからやけにおとなしいと思ってたら、何と瀬里奈がしおりんを睨んでるじゃない。
 ちょっと、いくら怪しいからって、それはまずいわよ。二人に見えないよう瀬里奈を小突くが、彼女はじ〜っとしおりんを睨め付けたまま。もう、何考えてんのよ!
 あっ、でもしおりんに精神的プレッシャーをかける効果はあるかも知んない。でも瀬里奈が何考えてるかわかんないから、あたしは内心ひやひやしながらもインタビューを続行。中間テストの漏洩疑惑や、勝手にでっち上げた桜井先生婚約の噂を尋ねてみる。いずれも無難な答えが返ってくる中、九条会長は不愉快さを増し、瀬里奈としおりんは静かに視線を戦わせ、場の緊張が不自然に高まり、空気にピリピリ感が伝わってくる。
 やるんなら今ね、あたしはいよいよ一石を投じてみることにした。
 「そう言えば、こんな噂もあるんですよ。なんでも鳳学院に秘密の売春倶楽部があるんですって」
 まるで冗談だと言わんばかりに、あたしは軽い口調で切り出すが、最大限の注意をしおりんに向けていた。
 悔しいけど、心理戦では向こうの方が上手のようね。彼女は意図的に感情を隠すことができ、あたしにはそれを見破れない。だから、さっき瀬里奈の視線で変化を感じ取ったように、彼女の心を雰囲気で感じ取るのだ。
 はたして穏やかな海を思わせるしおりんの雰囲気には、さざ波が立つ程の変化が現れた。売春倶楽部の名に反応して、僅かに感情が揺らいだように見えたが、それは驚きによるものではなく、先の噂同様、聞いたことがある程度の反応だ。
 気付けないほど上手く感情を隠されたのかもしれない。でも、あたしは直感的にその考えを否定し、確信に満ちた結論を得た。
 違う、綾小路紫織は売春組織と関係ない。
 安堵の気持ちが込み上げ、肩から緊張が抜けるのを覚える。良かった、正直彼女だけは敵に回したくなかったのよ。でも、そうなると黒幕はいったい誰なの?
 「ハハハ、何を言い出すかと思えば、そんなくだらない噂まであるんですか」 
 どうやらその答えはすぐに見つかることになりそう。あたしはまるで、そんな馬鹿なと言わんばかりに笑う九条会長に注意を払った。集中力と直感力が最大限高まってる今ならはっきり分かる。
 “怪しい。露骨に怪しい。こいつはぜ〜ったい何か隠してる!”
 そして、そう思ったのはあたしだけじゃなかったようだ。


 「橘さん、それは本当に根も葉もない噂ですよ。確かに鳳学院の歴史に不純異性交遊の前歴はありますが、さすがに売春倶楽部などとは‥」
 どうやら都合の悪いことが起きると、彼は笑って誤魔化すようね。先程の動揺から立ち直り、笑顔の仮面で取り繕う彼を、私は冷静に分析した。


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