投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ピエロの恋
【その他 その他小説】

ピエロの恋の最初へ ピエロの恋 4 ピエロの恋 6 ピエロの恋の最後へ

ピエロの恋-5


「おい、もしかしてお前、ナリア王女に気があるのか?」
俺は直球で聞いたね。すると落書きみたいな目が左右に泳いで心の動揺を見せたね。分かりやすい奴。
「実は僕、彼女のことを知っているんだ。何度か会っている。でも僕がピエロだってことを向こうは知らないんだ。
もし王女がピエロの僕に興味があるなら、僕はこの格好で会ってみたい。
そして彼女と色々と話しをしてみたいな。ねえ、タダシ。僕に協力してよ」
おいおい、ピエロよ、ピエロ。無茶振りも大概にしてくれ。どうやって謎深いナリア王女とお前を会わせることができると言うんだ?
「実は僕は彼女とコンタクトを取る方法を知っている。ちょっとかなり手続きが面倒なんだけどね。
だから会うことは不可能じゃない。
でもピエロとして1人で会うのは怖い。だからタダシも付き合ってくれよ」
訳の分からない奴だ。コンタクトできるなら本体のお前が直接会って話せば良いじゃないか。
「分かるかな。 本物の僕が出張ってもし王女に嫌われたらそこで全てがゲームセットだろう?
でもピエロが嫌われるなら、そんなに傷がつかない」
ふん、臆病者め。だがお前がシャイな奴だってことは前から分かっている。良いだろう。
付き合ってやるよ。

俺はピエロと一緒にお迎えの車に乗って、都内を走った。
郊外の小さな民家の前で降りると2人でその中に入った。
するとメイド服を着た若い娘が出迎えた。
「どうぞ、中へ。」
俺たちがリビングに案内されて座ると、紅茶を出してくれた。
「今王女様を呼びに行きますので、少々お待ち下さい」
メイドはそう言うと俺達を残して隣の部屋に行った。
すぐ来るのかと思ったら、なかなか出て来ない。
「駄目だよ、タダシ!」
俺はピエロの制止も聞かず、隣の部屋のドアを開けた。


俺が隣の部屋のドアを開けると、そこには誰もいなかった。
出口はここしかないはずなのに。まさか窓から出て行ったとか。だが内側から鍵がかかっていて、それも不可能だ。
「タダシ、そんなことをするとナリア王女が怒るよ。彼女は安全対策で姿を現すときには慎重なんだから」
ピエロは少し怒り顔で俺に言った。俺はドアを閉めた。
「ごめん、ちょっとの間、僕は気持ちを落ち着けたいから、話しかけないでくれるかな?」
そう言うと、ピエロは目を閉じて瞑想体勢に入った。(−ー)
なんだ? そんなに緊張してるのか。俺がそう問いかけてもピエロは喋ろうとしない。
もしかして怒ってるのか?


 


ピエロの恋の最初へ ピエロの恋 4 ピエロの恋 6 ピエロの恋の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前