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The sickness of love
【純愛 恋愛小説】

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The sickness of love-10

『お前…。』
孝は席を外し、葉月は渉の元に来た。
『渉…。これを。』
葉月は一通の書類を受け取る。
内容は、
『中河原孝―余命半年。』
と書かれた文字。
渉は床に座り込んだ。
そして、中河原のグレーの瞳からやるせない涙がとめどなく溢れた。
渉はうなだれながら部屋に戻った。
何もかも投げ出したくなる。
その位絶望的な告知だった。
『俺はどうしたらいいんだ…。』
涙が止まらない。
頭の中がぐちゃぐちゃで、意味が理解出来ない。
『今まで育ててくれた義父が死ぬ…。もう会えない…。今まで俺は何がしたいんだ。何故俺は中河原グループは嫌いなんだ?イジメられたからか?結局俺の我が儘だ…。』
渉は寝るに寝れず、窓を開けて、煙草を吸う。
窓の向こうのキラキラとしたビルの電気。
一つ一つ消えていく灯りに渉は人の死を重ねた。
『自分自身が納得する様にか…。』
春日の言った事が脳裏をよぎる。
渉はまた自分のやりたい事が解らなくなった。
午前三時。
家を抜け出し、自転車で春日の家に向かった。
春日の家に着くと、インターホンを鳴らす。
『ふぁーい…。誰…?』
春日が戸を開けると、真っ青な顔をした中河原の姿が在った。
『渉…?どうしたの?』
中河原は何も言わずに、春日にもたれかかった。
『義父が余命半年なんだ…。俺はどうしたらいいんだ…。俺のココはどうしたら納得するんだ!』
中河原は胸に手を当てて反狂乱になって春日に怒鳴った。
『渉…。もうやめて。』
春日は涙する中河原を必死で止めようとするが、止まらない。
中河原は春日のデスクに置いてあるカッターを持ち出し、自分の首に刃を当てた。
『もう…俺死ぬわ。』
『中河原渉!』
春日は中河原に怒鳴りつけた。
そして、怯んだ所を押さえようとした時、中河原がカッターを春日に向けた。
『俺は死ぬんだ。澪…。』
春日はその向けられたカッターの刃を迷わず握り締めた。
春日の手からはボタボタと血が流れ落ちる。
まるで中河原の涙のようだった。
春日はカッターの刃を握り締めた反対側の手で中河原の頬を自分の中で一番強い力で叩いた。
バシッと言う音が部屋に響く。
『渉!貴方はそんなに弱い人間なの?いい加減にしなさい。一番甘えているのは渉じゃない。』
中河原はカッターを手から離した。
そして、春日の手には深い切傷が残る。
中河原は春日に抱きついた。
『ごめん…。俺甘えてた。何もかもが嫌になったんだ。俺は好きな仕事をしたい。義父の会社をもっと好きになるよ。澪…。』
春日は落ち着いた中河原をベッドに寝かせた。
部屋の奥から救急箱を持ってきて、自分で包帯を巻く。
『渉…。貴方が死ぬと悲しむ人がたくさん居るの。考えた事ある?殺人より自殺の方が重罪よ。だからと言って人を殺していい訳は無いんだけどね。貴方は死んではいけない。強くなりなさい。』
春日は中河原に冷たい視線をぶつける。
『澪…。ごめん…。俺、澪の彼氏失格だよな?』
『私は渉を嫌いにはならないわ。今渉は勉強をしたから。傷なんて気にしないで。私の身体にもたくさん在るし。』
中河原は春日をベッドに押し倒した。
『俺は澪を抱きたい。愛したいんだ。』
中河原は眼鏡を外し、春日にキスをした。
甘くて深いキスを何回も何回も交す。


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