ソレゾレノケツイ-8
悲鳴のように反論するリュディを見て、テオは思わず吹き出す。
「笑い事じゃない」
「悪い悪い……だって、受けるって選択肢もあるんだなって思ってさ」
テオの指摘にリュディの顔は益々真っ赤だ。
「そりゃ、アイツは王子で次期国王だけどさ……そこ取っ払って見て、リュディはどうよ?」
「ど、どうって?」
「1人の男として見て、抱かれてみたいかどうかって事」
「だっ……抱っ……ダっ……?!」
ぷしゅうっと湯気が吹き出す程赤くなったリュディは、力尽きて崩れそうになった。
「おっと」
テオはリュディの腰を抱いて崩れ落ちるのを防ぐ。
「とりあえず、ここはファンじゃねえし?アイツも王子として来てるワケでもねえし?1度の過ちって事で寝てみれば?」
何でそんなにセックスさせたがるのか、とリュディは膨れっ面でテオを見上げた。
「ほら、俺らだって寝てみて違うなって気づいたじゃん?」
「それは……そうだけど……」
相手が相手だし、それにランスがそうホイホイ誰でも抱くだろうか?
「リュディの場合、その身体を受け入れともらえるかどうかって問題もあるし……まあ、リュディが嫌だと思うなら無理にとは言わねぇケドさ」
全てをさらけ出す事が出来るかどうか……リュディにとって、そこは大きな問題だ。
「だけどさ。アイツはリュディが両性具有だって知ってて口説いてんだし……って、あんまオレが口出しする事じゃねぇか」
部外者がごちゃごちゃ言い過ぎた、とテオは自分にしなだれているリュディの頭のてっぺんに顎を乗せた。
「ううん……ありがとう……」
話す事で少し落ち着いた、とリュディはテオの胸に擦り寄る。
「ところで……パルと何か……あった?」
さっきの追いかけっこは何だったんだ、というリュディの質問にテオはため息混じりに息を吐いた。
「告白してから逃げられてる」
「……告白……?」
確かにリュディはパルに向き合えとテオに言ったが、告白しろとは言ってない。
「パルが……好きなの?」
「ん。スッゲェ好き」
「魔物なのに?」
リュディの当然の疑問にテオはクスリと笑って答えた。
「魔物……だから、かなぁ……」
魔物のパルだから可愛い所が多々ある。