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LADY GUN
【推理 推理小説】

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加藤綾美の価値-4

 あまりに警官らしからぬ応対に怪訝そうな顔をして話を聞いていた年配の警官、野田雄二郎が何かを思い出したかのように口を開いた。
 「ん…?深夜3時に美人…?車とはタクシーかな??」
 「そ、そうです!」
更なる重要な話が聞けそうな予感がした静香は興奮してきた。
 「そう言えば一週間ぐらい前だったかなぁ。夜勤の時にタクシーが駅前に止まって若いベッピンさんが降りたのを見たよ。」
 「ほ、本当ですか!?」
 「ああ。あんな時間にタクシーで駅前に降りる人はまずいないからね。」
 (間違いない…加藤綾美だ。)
確信した静香。
 「その女性はどっちに向かって歩いて行きましたか!?」
 「ああ、あっちだよ。」
北口を背中にして右斜め前方の方を指差した野田。
 「私の勘だが、彼女はあっちの方に住まいがあるんじゃないかな。マンションか、アパートかは分からないが。」
 「え?」
 「私は長年この派出所から人の行き交う光景を見ている。今から会社に行く人、帰る人、遊びに行く人、デートしにいくひと、たくさん見ている。その経験から彼女は誰かの待つ場所へ帰るような姿ではなかった。誰もいない部屋に帰るような雰囲気だった。これから大切な人や家族の元へ帰るような雰囲気ではなかったよ。それに普通こんな所では降りないよね?あんな夜中に。て事は住んでいる所をあまり人に知られたくないんじゃなかったのかな。だから内緒で借りたアパートとか。」
 野田が言うと何か説得力がある。
 「なるほど…。」
 「おじさん凄〜い!!」
 「こ、こら若菜…」
 「ハハハ!」
若菜に目をウルウルされながら褒められた事にまんざらでもない様子の野田。
 「若い女性が夜中に何キロも歩くのは嫌だろうから市一番手前のアパートから調べて行くといい。」
 「はい!ありがとうございます!」
2人は頭を深々と下げて加藤綾美が歩いて行った方角に急ぐ。
 「てか、キレーなオネーサマと可愛い女の子…お友達になりたいっす!」
 「若いなぁ。でも山下より全然頭が良さそうだ。諦めな!」
野田は笑い飛ばした。野田も昔は刑事だった。静香の目が気に入った。刑事時代に同じような目をした刑事を連れ添い、よく捜査に出掛けた事を思い出した。
 (頑張れよ、刑事さん!)
野田の眼差しは太陽よりも暖かかっかもしれない。


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