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Twin's Story 外伝「Hot Chocolate Time 2」〜男の矜持タイム
【OL/お姉さん 官能小説】

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秋月の矜持-1

 夏輝は店に足を踏み入れたとたん、立ち止まって店内を見回した。
「どうしました?」
「こ、ここ、本当に居酒屋なんですか?巡査長。」
「女性を誘って食事するのに、タバコ臭い脂ぎった店を選ぶわけないでしょう?」秋月は笑った。「でも、貴女の口から『居酒屋がいい』なんて言葉が出てくるとは思いませんでしたよ」
「気取らない店がいいんです。それに、」夏輝は秋月の顔を見た。「あたしも大人になって飲めるようになったから……」

 二人は店のスタッフに案内されて、奥のテーブルに向き合って座った。
「へえ、そうなんですね。早く言ってくれればよかったのに」秋月はテーブルのおしぼりで手を拭きながら言った。「先週だったんですか、誕生日」
「はい。何とか無事に」
「ご家族に祝っていただいた?」
「いいえ。あたし自身、すっかり忘れちゃってて、気づいたらあっさり二十歳になってました」夏輝は笑った。
「じゃあ、今回は貴女の誕生祝い。僕がおごってあげる口実にもなるしね」
「え? そ、そんな、いいですよ、割り勘にしましょう、巡査長」
「だめです」秋月はきっぱりと言った。「貴女が僕に借りを作らない条件で、ここは僕が持つ。拒否権無し」
「……巡査長」
 秋月は照れたように頭を掻きながら言った。「たまにはかっこいいこと、言わせてください。こんな僕にもちょっとばかりの男のプライドってもんがあります」


「ビールって苦いんですね……」夏輝がグラスをテーブルに置いて、渋い顔をして秋月を見た。
「いきなり飲むなんて言うから……。無理しないでカクテル系にしたらどうですか?」秋月が飲み物メニューを手に取った。「『パッションフルーツリキュール』なんてどうですか?情熱的な赤いお酒……あ、これも貴女に似合ってる気がする、『クレームド・カシス』」
「ク、クレームド?」
「とっても甘いリキュールです。初心者にはいいかも。でも調子に乗って飲み過ぎると、とんでもないことになりますけどね。当たり障りのない『カシスオレンジ』を頼みましょうか」秋月はにこにこ笑いながらメニューから目を上げた。
「カシス……オレンジ?」
「カシスのリキュールとオレンジジュースを混ぜたお酒です」
「すみません……。あたし、お酒のこと、よくわかってない……」
「そんなものです。初めはね。でも、本当に飲み過ぎないでくださいね」
「少し飲んだだけで、酔っ払っちゃったらどうしよう……」
「大丈夫。立てなくなっても僕が責任もって送ってってあげますよ。それも市民を守る警察官の務め」秋月は笑いながらそう言った後、手を挙げてホールスタッフを呼んだ。

「あの……」夏輝が上目遣いで秋月を見た。
「はい?」秋月はウーロン茶を飲みかけて動作を止めた。
「こ、この席ではあたし、巡査長を『遼さん』って呼んでいいですか?」
 秋月は穏やかに微笑みながら言った。「今はOFFだから『巡査長』よりはましだけど……、できれば『秋月さん』にしてもらえますか?」
「は、はい……。わかりました」
 夏輝はばつが悪そうにうつむいた。


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