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密約旅行
【熟女/人妻 官能小説】

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後編-4

(4)


 廊下を歩きながら自然と俯き加減になってしまう。誰かに見られている気がしてならなかった。途中で若者の一人とすれ違った時は思わず顔を背けてしまった。
(彼が由里の相手……)
逃げ出したい気持ちが過る。
(やっぱり部屋で待ってた方がよかったか……)

 セックスを求めて男の部屋へ行く。よほど度胸を決めて開き直らないと出来ないことだ。
(由里は平気だったのかしら……)
思いながら、いま自分は男の部屋に向かっている。


 ドアの前に立つと、大きく息を吸い、吐いた。
擦ったような小さなノックになった。……聴こえただろうか、と、思う間もなくドアが開いた。驚いて思わず後ずさった。

「今晩は。どうぞ」
少年のような笑顔を見て、知恵子は改めて自分との年齢差を感じた。
「今晩は……」
「どうぞ、入ってください」
「ええ……」

 テーブルを挟んで向き合って座った。
「ビールでも飲みますか?」
「そうね、頂くわ」
喉も渇いていたが、とりあえず間が欲しかった。
 注いでくれたビールを飲み干した。

「強いですね」
若者は自分もグラスを空けると大きく息をついた。
 痩せているので浴衣が似合わない。垂れ下がった鯉のぼりみたいだ。

「若いのに……」
知恵子は男と目を合わさずに、
「こんなおばさんで、いいのかしら?」

「おばさんだなんて、お若いですよ。きれいだし。ぼく、年上の女性に憧れがあるんです」
年上といったって、母親と同じくらいだろうに、それは口にせず、
「でも、がっかりすると悪いわ」
「そんなこと、ないです」
「彼女、いるの?」
「ええ……まあ……」
「それじゃ、可哀そうよ……その子……」
意味のないことを言っていると思いながら、話しの手だてが浮かばない。

 会話が途切れると言葉が見つからない。元々主旨のない話だから無理もないところだが、黙り込んだ男を見ると顔が赤らんでいる。酒のせいなのか、昂奮なのかわからないが、いらぬ話をして切っ掛けを潰したのかと知恵子はさらに言葉を失った。

 ごくりと男の喉が鳴った。目をあげるといっそう紅潮した顔が彼女を見据えていた。
「お願いします……」
宣言するようにきっぱりと言って立ちあがった。意を決した感じだった。たぶん考えていたのだろう。
 浴衣を脱いで、ブンとペニスが跳ねた姿を見せた。かっと体が熱くなった。瞬く間に潤いが絞り出されて力が抜けていった。

 触れるまでもなくその硬さがわかる。勃ちあがった角度がちがう。夫はせいぜい45度。若者のそれは裏筋を見せ、なおかつ反り返ろうと伸び上がっている。
 男は全裸になり、布団の敷いてある隣室に入っていった。知恵子はくらくらして、テーブルに手をつき、男に従った。

 若者の体は贅肉の弛みがまったくない。頼りないイメージは一変した。痩せているだけに怒張したペニスは大きく見える。
 知恵子は浴衣を脱ぎ落し、男のそばに膝をつくと仰向けに倒れ込んだ。
「あう!」
乳首を吸われ、知恵子の脳神経が切断された。
「ああっ、いい……」
男の頭を抱え込んで思いきりのけぞる。ジュッと蜜液が満ちた。逡巡も理性も吹き飛んでいった。

「ああ……やさしく吸って……舌を使って……ああ!そう、そうよ……」
引き締まった若者の背をさすり、抱き締め、知恵子は堪えられなくなって自ら男の頭を押し下げて下半身へ誘導していった。
「舐めて、早く……」
一人で昇ることしか頭にない状況になっていた。
(こんなに一気にイキそうになったのは初めて……)
快感の予感が錯乱の中で閃いた。

(来る、来る……)
男の舌が突起を転がした。
「くくっ!」
ためらっていた自分はもうどこにもいない。悲しいほどの悦楽の魔力であった。

 欲望のままのめり込んでいく。知恵子の体も想いもそれしか目指していなかった。
開脚した脚を絡め、男の舌の動きに合わせて腰を煽る。
(ああ、なんていいの……)
息子ほどの若い男が自分を舐めている。
(ほんとうにそうなのよ。舐めているのよ……)
股間を貪る男の頭が絶え間なく動く。乱れた息遣い。熱い息が性器に吹きかかる。

「ああ!」
知恵子は胸を迫り上げ、近づいてくる歓喜の星が輝くのを感じた。
「イキそう、もういい、きて、きて、早く!」
切迫した口調は叱咤する言い方になっていたかもしれない。
「はい……」
男は腰を進めて先端を宛がった。
(だめ、コンドーム……)
よぎったものの言葉も出ず、体も身構えたまま動けない。
 亀頭がめり込み、膣孔に痺れが走った。
(だめ、我慢できない……)
腰を突き上げて『本体』を呼び込んだのは知恵子の方だ。

「くあ!」
漲った肉棒が勢いよく膣をくぐってきた。
「ああ、気持ちいい」
重なりながら男が呻いた。
 太さとは異なる、極限まで充血した硬い実感が貫いている。締めつけると弾き返してくる。
(イッテしまう……)
もはや避妊を促すのは無理だ。自分も撥ね退けられない。
「あっ、くっ」
動いた男が声を洩らした直後、ほとばしったのがわかった。
「だめ!まだよ!」
慌ててペニスを引き込みながら何とか到達しようと踏ん張ってみたが、硬度は徐々に失われていく。
「ああ……もう……」
男は体をひくつかせ、
「す、すみません……」
力なく言った。 


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