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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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アイノカタチ-19


「人間型に成れなくて……でも……気になるからって……」

 リュディは困った顔で説明する。

「ちょっと!パルちゃん!この要塞は壁に張り付くようには作ってないんだから!降りて降りて!!」

 外でクラスタ要塞を設計した建築士が悲鳴のような声を上げていた。

「なぁによぅケチ」

 パルが不貞腐れた声で返事をする。

「そういう問題じゃないの!頼むからあっ」

 終いには泣き声になってしまい、パルは渋々と壁を降りようとした。

「パル」

 テオは慌てて身体を起こし、貧血をおこしてそのまま布団に突っ伏す。

「テオ……無理しないで……」

 リュディが手を貸して起き上がらせるのを、パルの目が心配そうに見ていた。

「パル、動けるようになったらオレが行くから……そしたら……言いたい事があるんだ」

 パルは頷くように瞬きをして窓から消えた。

 それからテオはリハビリに励み、リュディはランスとノアと共にベランナの研究と精製に勤しみ、パルは魔力の扱い方を他の魔物達に教えてもらっていた。
 ノアの医療魔法で治療しようかとも思ったのだが、テオに注がれた魔物の魔力と反発して変な風に作用する可能性もありそれは断念。
 しかし、魔法を使わずとも若いだけあってテオの回復は早かった。
 1週間もすれば1人で歩けるようになり、要塞から出る許可も出た。
 要塞から出て暫く歩いた所に拓けた場所があり、そこにパルを中心に2、3体の魔物が集まっている。

「ほらほらぁエネルギーを外に流すイメージよん」

「うぅ〜」

「そうそう、そうすれば身体の中のエネルギーが少し落ち着くだろ?」

「……うぅ?」

 要塞に居て人間達と共生している魔物達が、パルに魔力の使い方を教えているようだ。
 パルは難しい顔をして頑張っているようだが、成果はイマイチの様子。

「パルっ」

 その集団にテオは明るい声をかけた。

「テオ!」

 用心の為に杖を使って歩いて来たテオに、パルはドタドタと土埃を上げて駆け寄る。

「もう歩けるの?傷はどうなった?アタシ何か失敗した?」

 魔力の扱いが下手なのにテオに魔力を分けるなどという暴挙を犯してしまい、パルはずっと心配だったのだ。
 テオが来たので他の魔物達は「またな」と立ち去り、パルは軽く頷いてテオに向き直る。



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