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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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アイノカタチ-18


 しかし、本当に魔物化した訳ではない。
 腕の鱗はギブスみたいなもので、傷が完治すれば自然に剥がれるし、血液代わりの魔力もテオの血量が増えれば必要無くなるので消えるそうだ。
 現地でノアが診断した内容は、要塞に居る魔物の医者と同じ結論だった。
 さすが、魔導師級の医療魔法使いだ。

「謝るなら心配かけたリュディヴィーヌに謝れ」

「ぅい」

「後、パルティオにはちゃんと礼を言えよ?」

「分かってる」

 テオはバートンから視線を外して、鱗に包まれた左腕を見た。
 パルが命がけで守ってくれて、得意でも無い筈なのに治療までしてくれ……だから今、生きている。

「男としての説教は終わりだ……父親としては……どんな形であろうと……生きてて良かった」

 バートンは苦笑してテオの頭をぐしゃぐしゃにして撫でた。
 その表情はやんちゃ坊主を叱りつつも、その元気さを誉めている様な父親の顔。

「ん」

 テオがくすぐったそうに笑うと、バートンはぐしゃぐしゃになった髪を整えてやり、ぐいっと頭を押した。

「ランスロット達が戻るまで寝とけ」

「ん」

 ピンと額を弾かれたテオは素直に返事をして目を閉じる。
 謝るのも礼を言うのも本人達が帰って来てからだ。
 やはり体力を消耗していたらしく、目を閉じた瞬間スゥっと意識を持っていかれたテオだった。


 どれくらい寝たか分からなかったが、爽やかな匂いを感じて自然と目が覚めた。

「……起こしちゃった?」

 ベットの横にリュディが座っており、テオの額をそっと撫でる。

「リュディ……ごめんな?心配かけたみたいだ」

「うん……でも……無事なら……良い」

 リュディは手を離してふんわりと微笑んだ。

「ベランナは?」

「ちゃんと収穫できたし……群生していた地区の調査も出来た……ランス様が精製の準備……してくださってる」

「そっか……パルは?」

 テオの質問にリュディは答えずに視線を窓へと向けた。
 首を傾げつつその視線を追ったテオは、窓に映るモノを見てビクウっと身体を強張らせる。

「な、な、なぁ??!」

 窓一面に映った巨大な目玉……誰でも驚く光景に、テオは冷や汗をかく。

「パ……パル?!」

 窓一面に映った目玉は中心が赤で周りが黒。
 どう見てもパルの目だ。



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