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LADY GUN
【推理 推理小説】

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知能犯-8

 平井絵里がドアをノックする。
 「失礼します。中央署の方をお連れ致しました。」
すると中から落ち着いた紳士的な声が聞こえた。
 「どうぞ。」
ドアを開ける絵里。中には白髪頭で声から容易く想像出来るような容姿の高田泰明が席を立つ姿が見えた。
 「どうぞお掛けになって下さい。」
軽く笑みをこぼしながら優しい応対をする泰明。
 (素敵…♪)
若菜が思わずそう思ってしまうほど紳士的な素敵なオジサマと言った感じだ。
 「平井君、飲み物を頼む。」
 「はい。」
絵里はお辞儀をして社長室を出て行った。
 「警察の方がお見えになるのは久しぶりだ。」
ニコッと笑う泰明。するといきなり静香が立ち上がり真剣な眼差しで泰明を見た。口を開こうとした瞬間だった。
 「君の言いたい事は十分分かってるから。その言葉は胸にしまっておきなさい。もう過去の話だ。ねっ?」
それは後輩の前で過去の未熟な自分の恥をわざわざ話す事はないよという泰明の優しさを感じた。静香は頭を下げゆっくりと席についた。
 「??」
若菜は意味が分からずキョトンとしていた。
 絵里がコーヒーを運んで来た。
 「失礼します。」
丁寧にお辞儀をして出て行った。品があり美しい女性だ。若菜はうっとりしてしまう。
 「私も色々大変だったよ。息子が犯罪者だと世間に広まって企業として経営の危機に陥ったからね。しかしそんな我々を助けてくれたのが、それまでお付き合いして頂いてた地元のお客様達だった。それまでと変わらぬお付き合いをしてくれ、逆に励ましてくれたんですよ。私はその時の恩は絶対忘れないと心に決めました。これから時間をかけて恩返ししていくと。地元の発展に尽力すると。以来私は地元の為に…、それだけを思い必死で働いて来ました。私はこれからも地元の為に命を捧げていくつもりです。地元の発展の為なら何でもする。地元が良くなる為なら捜査にも協力する。そういう所存です。」
 「御社の発展はそういう思いがあったからなんですね。素晴らしいと思います。」
 「そう言ってくれると嬉しいよ。失敗や逆境に潰されたら前へ進めなかったのは君も同じだろう?」
 「はい。確かに…。」
 「心の支えを持った人間は強い。私もそうだ。君も、ね?」
 「おっしゃる通りです。」
 「お互い尽力しよう。それで今日は何を聞きたいのかな?」
本題に入る。
 「実は…息子さんの経営しておりましたR4コーポレーションについていくつかお話しを伺えたらと思いまして…。」
泰明は一度大きく溜め息をついた。
 「R4コーポレーションか…。分かったよ。知る限りの事は何でも答えよう。」
 「ご協力、感謝致します。」
思い出したくもないであろう話を聞かせてくれる泰明に敬意を表して深々と頭を下げた静香だった。


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