知能犯-5
すでに世間では婦警達の監禁暴行事件に大騒ぎになっていた。報道陣もたくさん押し寄せ事実確認を求めてくる。その対応だけでも手一杯だった。収束出来ないと判断した中央署は記者会見を開いた。
｢先週辺りから県内の各署の多くの婦警をはじめとする女性署員が失踪、行方不明になっております。現在必死で捜索活動を行っている所です。｣
｢犯人は目星が立っているのですか？｣
｢現在捜査中でございます。｣
｢犯行の目的は？｣
｢それも捜査中です。｣
｢数年前に城南を中心に起きた婦警暴行事件との因果関係は？｣
｢それも捜査中です。｣
｢結局何も分かってないという事ですね？｣
｢…｣
テーブルの下で拳を握りしめる島田。報道陣からは核心に迫る質問が飛ぶ。
｢現在多くの動画投稿サイトに婦警姿の多くの女性が覆面を被った男達に集団暴行されている映像がたくさんアップされていますか、あれは本物ですか？｣
｢現在確認中です。｣
｢確認も何も映像に映っている婦警の中で弓野聖子さんと中嶋梨華さんはここ中央署の婦警だと言う事じゃないですか？本人に間違いないという証言もとれてますが？｣
｢…確認中です。｣
苦しくなってきた島田。もしかしたら自分達より多く情報を持っているかも知れない報道陣に慎重になる。
｢ではこれで記者会見を終わります。｣
｢あ、ちょっと署長！？｣
強引に会見を終了させた島田。怒号が響く会見場を背にして去って行った。
｢くそっ！！もうみんな筒抜けだな！早く救出しなければ！！｣
警察の威信に関わる事件に島田は焦りの表情を見せる。
｢みなさん、報道陣に質問されてもノーコメントでお願いします！｣
静香が署員に向けて言った。
｢よし、捜査会議を始めるぞ！全員会議室集合だ！｣
｢はい！｣
署に残る刑事達は長い間、捜査会議を行った。