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蔵の嗚咽
【近親相姦 官能小説】

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第二章-2

 二泊して父が帰った夜。真夜中にもかかわらず朝を迎えたように目が覚めた。
(オシッコ……)
尿意を催したと思ったのだが、違っていた。性器がかちかちになって頭が冴えわたっていた。
 起き上がって襖を開けると廊下の軋みが聞こえた。誰かが歩いている。
(タエ……)
部屋の位置からしてその廊下を使うのは彼女しかいない。そう思った時、オッパイを思い出した。
(赤ちゃんみたいにしゃぶって……)
あの時、タエのほうから言ったのだ。二人の秘密が甦った。たまらなくオッパイに触りたくなった。

 部屋を覗くと布団は空である。
(トイレに行ったのだ……)
脅かしてやろうと思いついて、急に尿意が切迫してきた。考えを変えてトイレに向かった。

 扉を開ける前に中の気配を窺った。何も聞こえない。それでもそっと足を踏み入れたが、洩らしそうになって慌てて放尿した。気が抜けるほど大量のオシッコが出て身震いした。勃起は治まっていた。

 タエはトイレにはいなかった。
(どこへ行ったんだろう……)
こんな夜中、他に行くところなどないはずだ。ひょっとして喉が渇いて台所に水を飲みに行ったのかもしれない。そうなら部屋に戻っているのか。

 扉に手をかけた。静寂の闇に細い一筋の声が聞こえた。
(あれだ……)
背筋に冷たいものが走った。
 声……。苦しそうな、すすり泣くような、それは確かに『人の声』であった。
 私は逃げ出さなかった。怖かったけれど、背伸びして小窓を少し開けた。中庭を挟んで蔵がある。声はそこから洩れていると思われた。
(誰かいる……タエ?……)
でも、なぜ?……
 タエの声に似ている気がした。途切れ途切れに、糸を引くように、声というより苦しくて呻いているようなものだったが、声音の『色』はタエだと思った。

 昼間の伯母たちの会話が浮かんできた。
「変な声だして」……
その話といま聞こえている声、そこに何かがあるようでいて繋がらない。
 どのくらいそこにいたのか。やがて声が消え入るように小さくなって聞こえなくなった。

 トイレを出て、いったん自分の部屋に戻った。そして考えた末、ふたたび起きるとタエの部屋に行った。
(いない……)
やっぱりあれはタエだったのか。
 私は彼女の布団に横になった。去年よりはっきりした感情に支配されていた。
(タエの体に触りたい……)
 水面の波紋のように想いが揺れて、むくむくと勃起した。タエの体を思い浮かべたことで反応したのである。本能的な予感のようなものだったろうか。

 ややあって、ミシミシと廊下の軋みが近づいてきた。
(タエ……)
身を縮めた。
 襖を開けたタエは部屋に足を踏み入れて立ち竦んだ。暗がりで見上げる私の目を見つけたようだった。

「坊ちゃん……どうしたの……」
驚いたせいか声が掠れていた。
「また怖くなったのか?」
「どこ行ってたの?」
タエは布団に膝をつくと私のそばに横になった。
「トイレだ……」
「ぼくも行ってたけど、その時、いたの?」
「ああ、いたよ。坊ちゃんのオシッコしてるの聞こえたよ」
(うそだ)と思いながら、『声』の話をしようとしてやめた。

 黙って乳房に手を当てた。タエは身動きせず目を閉じている。浴衣は汗で湿っていた。
「タエ……しゃぶっていい?赤ちゃんみたいに」
呼吸をするたびに胸の膨らみが動く。
 タエは無言のまま襟を開いて乳房を出した。
「ちょっとだよ……」
「うん……」
体を起して口をつけた。
(しょっぱい……)
汗でぬるっとしている。
 タエの口は少し開いたまま、去年と同じように苦しそうな息をし始めた。

「タエ、気持ちいいの?」
タエは間を置いてから顎を引いた。そしてもぞもぞと動き、見ているとタエの手は裾を割って股に差し込まれた。

 手が小刻みに動きはじめた。私が彼女の太ももに股間を押しつけたのは無意識といってもいい。
「坊ちゃん……」
タエは自分の『作業』を中断するとその手で私の股間を探ってきた。
「坊ちゃん、硬くなったのか?」
「タエに触ると硬くなっちゃう」
「……見せてくれるか?」
私が答える間もなく、タエは起き上がって私のパジャマを下げた。一人前にぴんと跳ねた。
 タエは顔を近づけてじっと見つめ、電気をつけようと膝立ちになってから動きをとめてまた横になった。
「坊ちゃん、明日よく見せてくれるか?あたしのも見せてやるから」
『あたしのも……』というのがぴんとこなかった。
「オッパイがいい」
「ああ、いいよ。しゃぶってもいいよ。明日。今日は遅いから」
ペニスは話しているうちに縮んでしまった。
「絶対に内緒だよ……」
耳元でタエが囁いた時、籠ったような口臭が漂ってきた。


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