投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

孤愁
【その他 官能小説】

孤愁の最初へ 孤愁 9 孤愁 11 孤愁の最後へ

孤愁-10

(理恵が何か言ったのだろうか……)
美貴の言葉の裏には理恵との関係を知っているようなふしが感じられる。理恵がそれとなく匂わせたのか。いや、あいつは言わないだろう。ならば美貴が感じ取ったということか。
 理恵といい美貴といい、目を見て『男』の匂いを感覚するのだろうか。……

 戻ってきた美貴はふたたびベッドに座ると服を脱ぎ始めた。その目はじっと有村に向けられている。
 先夜のような錯乱する気配はない。酔っていないからか。
 見る間に胸をはだけ、下も取り去って全裸になって脚を組んだ。なおも彼を見つめ続けている。少し頬を緩ませた。
「どうしたんですか?黙ってて」
「やっぱりきれいだなって思って……」
「ふふ……ありがとう。でも、理恵さんほど色気はないけど」
ずいぶん理恵にこだわっている。
 有村は言葉に困って上着を脱いだ。

 美貴が仰向けになった。どこを隠すでもない。髪がシーツに広がり、しなやかな細身の裸身は実に淫靡である。股間に陰毛が浮かび、女体の繊細な趣が漂うように萌え上がってくる。挑発的である。
 彼女の目に淫乱な輝きは見えない。むしろ冷静なくらいであった。まだシャワーを浴びていないので『事始め』ではないらしい。
 それでも平然と全裸になるのは、開放的といったらいいのか、有村に心を許しているととらえるべきか。ともかく、彼女に合わせて下着を脱ぎ、すでに怒張している一物を出したまま美貴の横に寝そべった。彼女の視線は穏やかである。

「あたし、昔、強姦されたの。高校の時……」
突然話し始めた。唐突で応じる言葉がない。
「野球部のマネージャーしててね。部室で」
「ひどいことするやつだな」
「夏の大会の直前。暑くて汗臭い部室だった……」
美貴は上を向いたまま呟くように語る。暗い表情ではない。まるで思い出を辿っているような横顔だった。
「そいつとは、それっきり?」
「そいつって、九人よ」
「え?……」
有村は絶句した。
「三年生全員と、監督……」
「まさか、そんな……」
「ほんとうなの」

 監督である教師と三年生の間にどんな話があったのか知る由もない。
練習が終わって部室に行くと、いきなり九人に取り囲まれた。みんな血走った目をしていて異様な雰囲気だったけれど、ふざけているのだと思った。
「何してんのよ、みんな」
笑おうとした時、監督が外にいる下級生に向かってすぐ帰れと怒鳴った。
「これから三年生だけのミーティングがある。今日は片づけはいい」

 静かになり、美貴に向き直った監督は真面目な顔で言った。
「これから厳しい大会が始まる。三年生はこの夏が最後だ。マネージャーも選手と一体となって戦ってもらう。いいな」
そして三年生の顔を一人一人見つめて、
「みんな、脱げ」
どすの利いた声で言い放った。
 言われた選手が泥だらけのユニフォームを脱ぎ始めた。何が何だかわからず、呆気にとられるばかりだった。
 パンツまで脱ぎ始めたので慌てて外に出ようとすると監督に腕を掴まれた。動けなくなったのはそれだけではない。下半身を露にした選手たちの異様な光景に圧されたのであった。目をそむけると恐怖を感じて手を振りほどいた。
「及川!」
監督に荒々しく抱えられてマットに押さえつけられた。

「これは恒例なんだ。三年間の熱い思いを受け止めろ」
あまりのことに声も出なかった。
 数人の部員に押さえられ、監督は彼女の尻に手を回して一気に下着をはぎ取った。
「やめて、やめてください」
やっとそれだけが口をついた。
 監督は美貴を見下ろしながら押し殺した声で口早に、
「お前も部員の一人だ。仲間と一つになろう」
言い終わらないうちに押し入ってきた。叫んだ口は誰かにタオルで塞がれた。

 裂けるほどの痛みが電気のように貫いた。猛然と突き入れられ、どう耐えていいのかさえわからなかった。
「うお!出る!」
ガクンと大きな体がのしかかってきて、つんと強い体臭が鼻をついた。抜かれる時も痛みが走った。

「お前らも及川を仲間にしてやれ」
「はい!」
揃った声が響き、しばしざわめきと溜息が聞こえた。
「岡田、早くしろ」
「はい……」
抵抗する力は失せていた。キャプテンの顔が視線に過ったのを憶えている。
 ふたたび下腹に痛みが起こった。そして次々と犯された。選手の汗がぽたぽたと滴った。
「監督、真っ赤です」
「処女だ。縁起がいいぞ」
「大丈夫ですか?」
「平気だ。いけ」
めちゃくちゃな話である。
 全員コンドームを着けていた。用意されていたマットといい、すべて計画されていたものだ。マネージャーは各学年一人ずついるが下級生は帰されたようだった。
「及川、ごめん」
誰か一人そう言って挿入してきた者がいたが誰だか思い出せない。みんな押し込むとほぼ同時に呻きをあげて果てた。
 いつからこんなことが行われていたのか。思えば昨夏の大会で先輩マネージャーの打ち沈んだ顔が浮かんできた。いつもとびきり明るい先輩だったのに……。きっと同じことをされたのだ。

 終わったあと、部員は外に出され、監督が放心している美貴の肩を軽く叩いた。
「あいつらも男になって思う存分戦える。わかってくれ。及川と一緒に戦うんだ」
そして胸に何か置いて出ていった。 
 


孤愁の最初へ 孤愁 9 孤愁 11 孤愁の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前