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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road-2

「まだやるか…?」

男は鼻を手で押さえながら、大通りへと逃げていった。


「サムライ…」
「ん?」

少女へ振り向くと、少女は人目を気にせずに抱きついてきた。

「んなっ…!」
「サムライ!ユーアーサムライ!」


少女をどうしようか、少年が思案に暮れていると、マスターがトレイを片手に入り口から出てきた。

「凄いな、ボーイ!!ボクシングか?」
「まぁ…」
「あっ!ダニー!この人がね、ボクのこと助けて…」
「見てたよ。それよりもボーイ、中を見てみな」

少年が言われた通りに店の中を見ると、客たちは立ち上がり拍手を送っていた。

「とりあえず、食べちまいな。せっかくだから熱い内にな」


極上のベーコンサンドを食し、カフェオレを飲み干し目の前に座っている少女に目を向ける。
身長は、160…あるかないか。
白い肌とは対象的な、燃えるようなストレートの紅い髪が揺れている。
その大きな目は、飽きることなく少年に羨望の眼差しを向けていた。


「…なんか用か」
「うん!」

少年は諦めたように彼女に向き直り尋ねた。

「なんだ?」
「キミ、日本人なんでしょ!?」
「あぁ…」
「うわあぁ…。本物のサムライだぁ…」

(明らかに勘違いしてやがる…)


「ボク、マリア!マリア・セレンス!キミの名前は?」
「龍矢…御堂 龍矢(みどう たつや)」
「タツヤ…タツヤ!タツヤでいいんだね?」
「あぁ」
「ボクね、近くのシアターでバックダンサーやってるんだ!見に来てよ!ねっ?」

屈託なく笑うマリアに、つい龍矢の顔が赤くなる。その時、店からマスター、ダニーが現れた。

「マリア、そのへんにしとけ。兄ちゃんが困ってるだろ」
「えぇっ!タツヤぁ…ボクと喋るの…嫌いなの?」

今にも泣きそうな少女の顔を見て、龍矢の顔はさらに赤くなる。

「マリア、昼の部は十一時からだろ?もう三十分しかないぞ?」
「ウソっ!早く行かなきゃ!じゃあ、ダニー、タツヤ!また後でね!」

マリアはそう言い残すと、駆け足でシアターに向かっていった。

「…いい娘だろう」
「あぁ…」
「アイツぁ、たった一人でこの街に来て、夢を掴もうと必死になってる。それを見てると、放っておけなくてな…」


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