クラスタ-21
エザルの吸血蔦を処理する……その為にクラスタの何処かに群生しているベランナを探して精製して除草剤を作ってエザルに戻る。
(それから、リュディの中の植物もどうにかして……)
「テ〜オ♪」
「どあっ?!」
手すりに腕を置いて考え事をしていた所に、急に背中から激突されて危うく落ちそうになる。
「危っあぶっアブッ??!」
「んきゃっ」
激突してきたのは勿論パルで、思った以上に吹っ飛んだテオを慌てて掴み、テオはわたわたと手すりにしがみついて何とか落下を免れた。
2人は同時に安堵の溜め息をついて脱力する。
「お、お前なぁ」
手すりにもたれてずるずると腰砕けたテオは、軽くパルを睨んだ。
「ごめんなさい」
睨まれたパルは謝りながら、おかしいな?と首を傾げて手をにぎにぎする。
「どした?」
「ん〜?何か思った以上に力が出ちゃうみたい。身体が再生したからかな?」
「再生したのか?」
「そうそう、それ言いに来たの。魔物のお医者さんが居てね。診てもらったら治ってるって♪」
パルはテオの前にちょこんとしゃがんで嬉しそうに報告した。
「そうか。良かったな」
「うん♪」
テオが頭を撫でてやると、くすぐったそうに首をすくめてクスクス笑う。
「テオはこんな所で何してるの?」
「ん?ん〜…実はデレクシスさんにな?ここの仕事手伝わないかって誘われた」
テオはデレクシスに言われた事と、自分の考えた事をパルに話した。
「全部片付いたら、ココに戻ろうかなって思ってる」
自分の考えを口に出してみると何となく客観的になれた。
(うん。正解な気がする)
パルに話した事で決心がついた。
テオはすっきりした気持ちで空を見上げる。
パルはテオの視線を追って空を見た後、テオに視線を戻した。
「ならアタシ達の事は良いから残ったらいいんじゃない?」
エザルの吸血蔦はリュディの仕業で、元はと言えばパルのせい。
リュディの身体の中の植物だってテオには関係無い事だ。
「……んな事言うなよ……寂しいじゃん?」
「寂しい?」
「俺はお前ら2人を特別だと思ってる。仲間外れは嫌だぜ?」
本当は「ふざけんな」と怒鳴りたかったのだが、感情に任せると喧嘩になる事が分かっていた。