クラスタ-22
だから、グッと我慢して自分がどう思っているか説明してやる。
パルは悪気があって言っているのではなく、本当にそう思っているのだ。
(ふむ……もうひとつやる事あったな……)
パルに人間の情愛を教えてやる事。
人間と深い関わりを持っているクセに、人間を知らなすぎる。
一緒に居れる間にテオの考える『愛』が、どういうものか教えてやろう。
「別に仲間外れするワケじゃ無いケド……」
「分かってっよ。無駄な時間使うなって事だろ?」
人間は魔物に比べて寿命が短いから、したい事は早めにした方が良い、との考え方だ。
「うん。でもテオが一緒に行きたいなら一緒に行こう?」
「そうだな」
テオは座ったままパルに腕を伸ばして、彼女の二の腕を掴んでグイッと引っ張った。
「にゃっ?!」
ちょこんとしゃがんだままだったパルは、初めて履くヒールの靴のせいもありバランスを崩してテオの腕の中に収まる。
「何?寒い?」
自分で暖を取るつもりか?と腕の中で見上げるパルにテオは苦笑した。
「いつもと違って可愛いから味見したくなった」
「?アタシ、お腹空いてないよ?」
「うん」
テオは顔を下げてパルの耳にキスをする。
「それに、もう『精』を食べなくても大丈夫だし」
「うん」
今度は反対側の耳にキスを落とした。
「だいたい、テオが味見するの?」
「……うん」
今度は鼻の頭に唇を落とす。
「今日のお前は何層も重なったミルクレープみたいだ」
そのまま鼻をペロッと舐めるとパルはきゅっと目を瞑った。
その隙を逃さず唇を重ねる。
「ん?」
抵抗はしないが疑問の声を漏らしたパルの唇を、慈しむように食む。
舌を入れたりの官能的な事はせずに、何度も角度を変えて味わう。
「んぅっふぁ……何?どしたの?」
パルは意味が分からずにテオの胸を押して少し離れた。
「良いから……もっと」
テオはパルを引き戻して、今度はたっぷりと唇を重ねる。
「ふ……んん」
ズクンと下腹辺りが疼き、パルは眉を潜めた。
(?お腹空いて無いのに?)
お腹が空いて空いて堪らない時……美味しそうな『精』を感じた時……その時に良くこういう風に身体が疼いた。