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短編集
【フェチ/マニア 官能小説】

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兄嫁の筆おろし 用意周到な火遊び-1

 毎年のことではあるが、親戚づきあいには慣れない。
 翔一は勉強に区切りをつけ、あいさつのためリビングに向かった。
「あら翔一くん。あけましておめでとー」
 おめでとうございます。翔一は短く返して冷蔵庫を開けた。牛乳と手に取りグラスに注いで一気に飲み干す。温めようかなとも思ったが、十分に暖房の効いた屋内では冷たさがむしろ心地よくて正解だった。
 ごめんなさいねえ、無愛想で。いえいえそんな。まあ俺も翔一くらいのころは……。母と兄、そして兄嫁である瑞穂が和やかに会話を交わす。
 兄は翔一より8歳上の23歳だ。去年、一つ歳上の瑞穂と結婚し、今年は初めて正月の里帰りに妻を連れてきた。
 大学で知り合った2人は在学中に同棲を始め、兄の卒業してすぐに籍を入れた。両家からもう少し落ち着いてからという意見も出たが、共働きで2人の時間が少なくなりそうだからこそ、結婚でもしなければ関係が続かないかもしれないという兄夫婦の考えを尊重した形だ。
 事実、兄の仕事が忙しいことを翔一は親からの情報で知っていた。この正月休みも久しぶりの貴重な連休であるようで、兄はソファーに寝そべりくつろいでいる。
 翔一は兄を嫌っているわけではないが、どこか自分とは別の存在のように感じていた。昔から異性から人気があり、常識的な範疇ではあるがよく付き合う相手を変えていたようで、未だもって女子とロクに話もできない翔一は引け目を感じていた。
 兄が最初に瑞穂を家に連れてきたときも、次の年には違う女を隣に置いてるんだろうなと予想していた。ところがその後も関係が順調だったことを受け、翔一は動揺した。
 こげ茶色の髪をボブカットにした明るい女性。それが瑞穂に抱いた第一印象だった。兄がそれまで彼女にしてきた人と違い派手さを抑えた感じで、翔一の好みだった。
 兄がどんな人と付き合っていても、それ自体はどうでもよかったし、結婚相手だって勝手にすればいいと思っていた。しかし兄が選んだのがよりによって自分のタイプの女性だったことは翔一にとって屈辱ですらあった。
 あれだけ遊んできた兄が瑞穂と暮らしている。夫婦なのだから当然抱くこともあるだろう。そのことを想像するとやるせない感覚に襲われ、気が付けば兄に抱かれ乱れる瑞穂を想像し自分を慰めていた。
 次第にそんな感情も落ち着いて自慰行為も減り、たまに顔を見られることを幸運に思おうと前向きになりつつあった。


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