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命令チップ03終章
【SF 官能小説】

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取り調べ室-1

長い廊下に椅子を並べ係員二人に挟まれて僕は座っていた。
あとから背の高い人が連れて来られて隣に座る。

廊下の奥からスーツを着た人が小走りで来て「お待たせしてすみませんね」と気さくな感じでニコやかに笑い、前の部屋に入った。
少しするとドアから顔を出して「どうぞー」と言われ、僕は部屋に入れられた。

部屋は小さく、ベッドをたたんで真中に机が置いてあり、座っているスーツの人と係員が二名いる。
「あ、座ってくれるかな?」前の椅子を指さすので、僕は座って待っていると、
用意ができたスーツの人は僕を見て微笑んだ。
「RIOのマネージャーをしている山根ともうします、さっそくだけど、これは君のかな?」
黒く小さい命令チップを摘んで聞いてくる。
また、侵食しない。

「はい、多分僕のです」
「そうなんだ、これは何かな? 盗聴器とかカメラの類なのかな?」
「いえ違います。ただの黒い部品です。」
「黒い部品は、何に使う物なの?」
「なににって……その、あの……」
とても盗聴どころの話ではない、教えられるわけがないのだ
返答に困っていたら、マネージャーが口を開く
「言えないのかな? ……なら教えてやろうか?」
今まで薄笑いしていたマネージャーは急に僕をにらみつけて別人に様になると、
「これは、マリオネットチップと言うんだよ、しかもお前の物じゃない、どうやって手に入れたんだ」
マネージャーの顔がさらに怖くなってきた。
「そ、それは……その……」
この人は命令チップの事を知っているんだ、やばい殺されるかもしれない、体中から汗が出てきた。
「このチップを使ってRIOを操ろうとしたんだろ!」
「いえ、その、たまたま持っていただけで……」ヤバイ言い訳が思いつかない
「ウソをつくな」ドンと机をたたく音で小さく悲鳴を上げてしまった。
「どこで拾ったんだ? 盗んだのか? おまえが持てるようなものじゃないんだぞ」
机をバンバン叩きながら話す。
怖い、怖い、耐え切れない、もう、これは正直に言うしかない。

土下座して謝ろうかと思ったその時、
「電車で女優の岸音あやかの頭に付いていたのを取ったんだろ?」と後ろから声が聞こえた。

振り向くと背の低く太った男がいて、同時にマネージャーや係員は動かなくなった。
「あなたは……」覚えているぞ

チップを拾った時、リュックを背負ったまま二人で電車の床を探していた人だ、あの美人は女優だったのか……
小さい男は動かないマネージャーの横に着てチップを持つと
「私はマリオネットチップ 通称マリーの開発者だよ、これは返してもらうぞ」
「開発者、これを作った人なのか?」
開発者の男は誇らしげに「まぁな」と答えた。
「このマリーを使ったのは私と少年だけだ、うちの研究員すら知らないんだぞ」
開発者は僕の横に来て話し続ける。
「あの時、岸根が遅刻して電車で来るとは思わなかったよ、事務所が駅に近いから間に合ったけど結局チップは見つからなかったなぁ」
開発者は僕の顔を覗きこみ
「まさか盗まれたとは考えないで、その時は踏まれたんだろうと諦めたよ、なぜかというと……」
開発者は僕の目の前でチップを床に落とすと、それを足で踏んだ。
「踏まれると簡単に壊れるからね」
粉々になったチップが床に散らばっている。

まるで砂のように細かく砕けている、もうお終いだ。
物凄い脱力感とともに後悔した、
分不相応に地元で遊んでおけば、こんな事にならなかったのに。
もう、操る人は増やせないのだ。

涙で目が潤んできた時、
「僕達はこの方に操られています」
突然マネージャーや係員が直立し、上をむいて叫んだ。
「ぶはっは、すごいだろ、かなりの数を操る事ができるんだぜ、少年は一枚で何人操るんだ?」
開発者は楽しそうだ。
「五人です」今も心に五個のスイッチが見える。
「へぇ〜この短期間に五人とはすごいね、全部女か?」
「いえ二人は男です」
「なんと、半分が男とは、若いのにすごいねぇ」
たぶん何か勘違いしてる。

「とゆうことは、常に五個のスイッチを感じてるはずだけど、正直うざくないか?」
「え? いえ、大丈夫です」
頭のスイッチも消されるかもしれないと思った僕は気にならない振りをする。
「そうか? どんな時でもスイッチがあるんだぞ、操っている時以外は見えない方がいいと思わないか?」
「慣れていますから大丈夫です。」
日奈と紗友里だけは死守したい
「そうかな? 慣れても、それが十個や二十個だと気が狂いそうになるぞ、いつでも消えないんだからな」
もう増えないのに何を言ってるんだろう、開発者の慣れ慣れしい態度が怖い。
「そうかも知れませんね……」
「だろ?」

開発者は時計を見るとびっくりして、
「お、握手会終わったな、少年ついてこい、歩きながら話すぞ」
開発者は部屋ドアを開けて、廊下に座っている背の高い男を追い返した。
僕は小さい彼の後ろをついていく。


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