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栗花晩景
【その他 官能小説】

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朧(おぼろ)-2

 恵子を激しく求めるようになったのはすぐには消し去ることのできない由美子の残像があったからだと思う。とはいえ、恵子の肉体の魅力はまた格別のものがある。たわわな柔肌の感触は融合されていく心地よさがある。だから由美子の代替として向き合ったとは言いきれない。しかし……。

「あうう……どうしたのよ……」
秘唇を貪る私の激しさに恵子は感じるより戸惑いをみせた。
「痛いわ。強すぎる」
(由美子は飛び立つように昇っていった……)

「きて……」
恵子が脚を開いて、埋め込む。
「あう……」
声を洩らすものの一体感が乏しい。ぶつかってくる反応がない。いや、ないわけではなく、昇ろうと喘いではいる。
(由美子は狂喜した……)
もどかしさが私を嗜虐的にした。

「後ろ……」
抜き去って後ろ向きを促すと、
「このままでいい……」
腰に手を添えると恵子はしぶしぶ体位を変えた。彼女はあまり好まない形である。肛門を見られるのがいやだと言ったことがある。それを知っていてあえてさせた。

 枕に頬を埋めて突き出した尻は巨大な桃みたいだ。由美子の二回りも大きいだろうか。子供を産んでからさらに脂が乗ったようだ。
 挿入してゆっくり抜き差ししながら、押し込む度にすぼまる肛門を見て、ふと指を入れてみたくなった。風俗週刊誌だったか、そうすると膣が収縮すると書いてあった記憶がある。真偽のほどはわからない。しかしこの時はそんなことより恵子がどんな反応をみせるのか、一種サディスティックな思いが過ったのだった。

 指先で蕾に触れる。
「いや、だめ……」
尻を振っていやがったが、拒否というほどでもない。行為の流れの一つとでも思ったのか。続けると、
「うふん……」
甘い吐息が洩れたのは心地いいようだ。
 腰の動きを止め、人差し指に唾液をまぶして先端を食い込ませた。
「なによ」
異常を感じた恵子が身をよじるのを片腕で腹を抱えて一気に差し込んだ。
「いや!やめて!そんなのいや!」
反射的にうつ伏せに逃げかかるのを引きつけてペニスと指を同時に根元まで突き差した。
「ああ!だめ!」
恵子の背中が大きく反ったのはこの時であった。

「ああ!感じる!」
体はもう逃げない。どころか、突き返してきた。
「ううう……」
四つん這いの格好で尻を打ちつけてくる。
(快感が駆け抜けている!)

 思いがけない事態に私も昂奮した。指を動かすと連動するように膣が締まる。抜き差しを再開しながら指も加わる。
 やがて恵子の背中が震え始めた。体の制御が利かずどうにもならないようだ。
(これは、イキそうだ)
動きを速め、
「恵子」
呼びかけたことが合図のように恵子は絶頂の声を振り絞った。
「だめ!もうだめえ!」
反り切った体が一瞬宙に浮いたようになってがくんと落ち、痙攣が射精を呼び、放出に呼応するように何度も引き攣った。

 うつ伏せに倒れ込む恵子に合わせてつながったまま重なっていった。
めくるめく感覚、長く尾を引く快感。恵子にはなおも小さな波が打ち寄せている。
「あなた……あたし……」
頭をもたげて、やっとそれだけ言った濡れた唇にかすかな笑みが浮かんだ。


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