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栗花晩景
【その他 官能小説】

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秋霖-10

 まだこれからである。
膝を折った形で横向きになった由美子は絶え間なく全身を震わせている。キュートな尻の丸みが痙攣している様はたまらなく扇情的だ。
 尻を持ち上げ後脊位にさせ、貫いた。
「うううあ」
項垂れていた頭をもたげて伸び上がる由美子。その連動で膣が締まる。

 我が一物が由美子の秘境を裂き、体内に潜っていく。突く度に呻く無防備な女の体勢は征服欲を高め、それはさらなる昂奮となって増幅される。
 由美子が動いた。私に合わせたというより勝手に体が動いた感じである。
「どうにかして!」
引いては突き、乳房をつかんで激しく打ちつける。

「○○さん!○○さん!」
私の名を呼んだ。初めてのことだ。両手をつき、髪を振り乱し、
「感じる!感じる!」
「由美子!」
抜き差しの膣口からは幹にまとわりついて白濁した液が掻き出される。襞肉が捲れ上がる。やがて由美子が腰を振り、私の動きに合わせて突き返してきた。それは明らかに扱くように腰を使っていた。
「由美子」
「ああ!感じる!感じる!」
「ああ!由美子……」
極まって思わず声を発したとたん、噴射が始まった。
「イク!由美子!」
「○○さん!」
由美子ものけ反って反応する。
 絶頂とともに前に倒れ込む由美子に重なっていった。

 その後、私たちはぬるくなった湯船に浸かった。
「また、主人を裏切ったわ……」
放心したような力のない顔である。
「ぼくも同じ……考えるのはよそう。義姉さん」
私の唇を項に受けて身悶えした。
「後悔してる?」
私の問いに少し間を置いて、
「そんなこと、訊かないで……」
そして嗚咽を漏らした。

 誰かに見られたら困ると思い、マンションから離れたところで別れ、駅前の居酒屋に身を入れた。早く帰るとまた言い訳しなければならない。
 一人酒を飲みながら、この夜の一部始終を辿った。
 許されぬことを繰り返してしまった。だが、まだ昂奮が細く尾を引いて後悔を被っている。
(由美子が好きだ……)
彼女の心はどうだったのか、わからない。しかし確かなことは思考がかすむほどの快楽に二人して溺れたという事実である。言語に尽くせぬ幸福感がやるせないくらいに心と肉体を満たしたのだ。それは肉欲だけでは到達し得ない愛の証明ではないのか。そんな想いは独りよがりの理屈なのか、熟慮する隙もないほど私の中には由美子がいた。


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