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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ムカシムカシ-13


 床に倒れ込んだリュディの身体は未だに跳ねています。
 綺麗な金髪がうっすらと緑色に変わっていきました。

「?」

 異常な光景にゴロツキ達がゴクリと生唾を飲みます。
 リュディは両手を床について跳ねる身体を起こしました。
 顔をあげたリュディの目は何も見ていませんでした。

「ひっ」

 ゴロツキの1人の喉から小さく悲鳴が漏れます。
 何故なら、リュディの口から緑色の蔦のようなものが出ていたからです。

「ば……化け物」

 呟いたゴロツキをリュディの目がギョロッと動いて捕らえました。

「ヒイィッ」

 リュディの口から次々と蔦が伸び、本体らしき塊がズルンと吐き出されます。
 べしゃっと落ちた植物らしき物体は、うねうねと蔦を動かして何かを探しているようでした。

「……これは『吸血蔦』……魔草と組み合わせて……人間を食う……」

「だったらテメエが食われろっ!」

ガシャン

ぶわっ

 ゴロツキの1人がランタンを投げつけ、床に炎が広がります。

「ふふ……私は雌雄同体……人間の定義に当てはまらない……」

 リュディの口元がぐにっと引き上がり、笑い顔を形作りますが、その目は泣いていました。

「それに……私……親株だから……」

 種を体内に入れて発芽させたリュディの身体の中には、吸血蔦の親株が居ました。
 親株は魔草の繁殖力を利用して異常繁殖し、次々と株分けしていきます。
 こうやって話している間も、リュディの口からは株分けされた子株が吐きだされ続けていました。

「に、逃げろっ」

 ゴロツキ達は我先にと逃げ出します。

「……逃がさない……」

 リュディの声で吐き出された吸血蔦達が床を素早く移動しました。

「うわぁっ」

「ぎゃああぁっ」

 吸血蔦はゴロツキ達に飛び付き、蔦をズブズブと身体に突き刺していきます。
 突き刺された蔦は体内で更に枝分かれして、身体の隅々まで広がりました。
 そして、身体から突き出て蔦を伸ばし壁や天井を突き破ります。

 蔦は新鮮な養分を得る為に、寄生した人間を殺しませんでした。
 しかし、暴れられるのは面倒なので幻覚作用のある樹液を体内に流します。



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