ミドリノヒミツ-2
「……テオちゃん……次、使うよね……?」
「は、はいっ!」
出てきたリュディに声をかけられたテオは、ギクシャクとリュディと入れ替わったのだが……。
「?」
その挙動不審ぶりに、今度はリュディが首を傾げるのだった。
気もそぞろに身体を拭き、仕切りのこっち側を片付けたテオはシーツを外す。
お互い何となく気まずかったが、酒が入ると気まずさもあっという間になくなった。
「まさかリュディさんがフルートを吹くとは思ってませんでした」
「……来てたの?」
「あれ?パルに聞いたんじゃ?」
テオの言葉にリュディは首を横に振る。
「え?じゃあ何で……」
テオの居場所が分かったのか?
「テオちゃん……駆け出しって言ってたから……ギルドに来てるって思った……」
ちょっとした推理でテオの居場所なんか直ぐ分かるらしい。
ぽてぽてと普通にギルドに行く途中に、偶然テオに会ったのだ。
「パルには……会ったの?」
「会ったっつうか……アイツ観客のとこで踊ってたでしょ?そん時目が合ったんです」
「……そう……」
パルは何も言わなかった……話すまでも無かっただけなのかもしれないが何だか釈然としない。
「何で祭りに参加してたんです?」
テオの質問に、リュディは釈然としない何かを頭の端に追いやり、ポツリポツリと答えた。
いつも立ち寄る街では路上パフォーマンスで小銭稼ぎをしている事、エザルでも2、3日稼いだら出発しようと思っていたのだが、同じく路上でパフォーマンスをしていた楽団に祭りに誘われた事……。
「……大きい舞台は初めてで……凄く緊張した」
ちゃんと出来ていただろうか?とリュディは不安そうな目をテオに向ける。
その姿が妙に子供っぽくて、テオは思わず吹き出した。
「ははっあんな堂々としてたのに?!」
「……そう?」
「はい。スッゲェ上手だったし、スッゲェ綺麗だったです」
「……そう……」
リュディは満足そうに笑ってコップに口を付けた。
「……あのね……」
コップに口を付けたまま目だけでテオを見たリュディの顔に、テオはドキッとする.
ほんのり頬を染めての上目遣いなんて反則だ。