ミドリノヒミツ-1
リュディと手を繋いで宿まで戻ったテオは、目敏い店主に見つかってしまった。
「お?!テオ坊!女連れ込みか?!」
ニヤニヤして言った店主の大声は、食堂に響き渡り冒険者達がぐりんと振り返る。
「おいおい、ヤリ方知ってんのかぁ?」
「嬢ちゃん、うちの坊主虐めねえでくれよぉ?」
ぎゃははと爆笑する酔っ払い冒険者共を無視して、テオは階段を上がった。
「……可愛いがられてるね……」
部屋に入るとリュディがポツリと呟く。
「ああ、まあ、そうですね……からかわれてるだけですけど」
テオは苦笑するとリュディの手を離して部屋のランタンをつけた。
リュディはテオの手の熱さが残る自分の手を、反対の手できゅっと握り大事そうに撫でる。
「シャワーとか無いんで水甕の使って下さい」
テオは部屋に置いてあったハンガー掛けを移動し、それと窓のカーテンレールにシーツを結んで仕切りを作った。
「……あ、ありがとう……」
リュディは慌てて手を離し、鞄から着替えを取って慌ただしく仕切りの向こうへ消える。
「?」
リュディの様子に首を傾げたテオだったが、気にしない事にして部屋の中を片付け始めた。
テーブルも無い部屋なので道々買ってきた食べ物は床に直置き。
リュディはベットに座ってもらう事にして自分は床で良いか、とテオは仕切り側に目を向けてギクリと固まった。
仕切りにくっきりとリュディの影が映っていたのだ。
スラリとした脚に、パルよりは控えめだが形の良い胸。
お尻は小さくキュッと上を向いている。
水に浸したタオルで腕を拭くポーズは、影なだけに想像を掻き立てられて物凄くエロい。
ごくっ
テオの喉が上下に動いて生唾を飲む音がした。
(やっべ……)
パルの印象が強すぎてリュディをそういう目で見ていなかったが、改めて見るとドンピシャなのだ。
正直、パルの様な可愛いのより美人系が好きだし、性格も積極的なのより大人しめの方がタイプ。
頭では「ヤバい、目を反らせ」と言っているのに、テオの目は仕切りに映ったリュディの影を凝視していた。
影が動いて服を着始めた辺りでやっと視線を外す事が出来、テオは内心ホッとする。