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美しき姦婦たち
【その他 官能小説】

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十八歳果実熟れ頃(1)-3

 手を引かれて入った部屋には布団が敷かれてあり、カーテンが締め切られてあった。
寝かされた坂崎の真上に黒々と母親の股が開いた。
「これ、着けるわね。待っててね……」
ぎこちない手つきでコンドームを被せる時も、息を乱しながら跨ってきた時も彼は動かずにされるままになっていた。自分でオナニーする時はすぐに射精してしまうのに、なぜか跳ね上がりながらも寸前でとどまっている。

 母親は切迫していたようだ。あてがって腰を沈めると、
「あうう……」
顎を上げて呻き、すぐに自分の世界に没入していった。
 えもいわれぬ快感がペニスから広がった。包まれたやわらかな感覚。圧迫でありながら圧迫ではない。
「あっ、あっ」
坂崎の胸に手をつき、一心に腰を上げては下ろす。その表情はめまぐるしく変わる。苦しそうに歪んだり、唇を噛んで唸ったり、鼻の穴をふくらませて泣き声みたいな声を洩らした。

「すごい、硬い」
激しい息遣いとともに体が重なってきた。
「いっちゃう……いっちゃう……ううう」
坂崎もほぼ同時に放った。
 ところが信じられないことにペニスは硬いまま納まり続けている。そして間もなくいっそうの快感が線香花火のようにちりちりと広がり、坂崎は思わず彼女に抱きついて突きあげていた。

「ひ!ああ、うう」
細かな痙攣に震えていた女体がふたたび硬直した。
「何、何なの……」
坂崎の動きが信じられなかったようだ。息子の同級生でまだ十六。性体験などあるはずはないと思っていただろうから、尻を抱えて下から突きさしてくる行為に驚いたにちがいない。彼自身も考えてしたことではない。
「あうあうあう……」
やがて坂崎は声をあげて果てた。

 その日から約二年近く関係は続いた。頻繁とはいかない。関わりは月に一度か二度くらいだったろうか。
 彼女は美津子といった。家庭の主婦であり、友人の他に兄弟もいる母でもある。そう頻繁には会えない。連絡を取ると彼女の方から待ち合わせの時間と場所を指定してくる。そこから彼女の運転で郊外のホテルへ向かった。

「もっと会いたいわ。さみしいのよ」
坂崎の存在は美津子の中で一人の男として在ったようだ。初めは溜まりに溜まった性的欲求を持て余していた時に膨らんだ股間を目にして突発的に燃え上がったのだろう。
 夫は単身赴任していて月に一度帰宅すると聞いた。
(だから欲求不満なんだ……)
一人前にそんなことを思ったものだ。

 坂崎にとって美津子は性のはけ口であった。女というセックスの対象でかろうじてつながっていたといえる。齢の差は大きかった。美しいと思ったことはない。大きな乳房も、どす黒い性器も昂奮の材料にはなったが、美津子にせがまれても口をつける気にはならなかった。
 それでも美津子に不満はなかったと思う。言われればのけ反って悲鳴をあげるまで指を抜き差ししたし、いつからか彼が組み敷く体位が常態化したことで十分陶酔できたようだ。
 坂崎のペニスは成長を続け、さらに持続力も増して雄々しく膣をえぐり、美津子は受動のまま快楽の淵に落ちて入った。

 ぶよぶよの大人の女が股を開いてぐったりしている。そこに自分のペニスが刺さっているのを見ながら、彼は妙な気持ちになったものだ。その想いはもやもやとしていて掴みどころのない感覚を伴っていた。昂ぶっていながら醒めている。セックスの奥深さなど知らないのにどこかがかみ合っていないもどかしさがあった。

 関係が途切れた理由は二つある。二人で車に乗っているところを近所の人に見られたという。
「若い人と車に乗ってなかった?」
訊かれてごまかしたようだが、これはまずいと最悪の結果を考えて怯えたようだ。そして程なく夫が東京勤務となって戻ってきた。
 いつものように車に乗り込んで走り出すとその話が出た。そして何も言わず、四つも離れた駅前で降ろされた。
「これからいろいろ忙しくなるの。もう電話しないで」
「今日はしないの?」
「何言ってるの子供のくせに。これ、電車賃」
一万円を手渡されて車を見送りながら特に湿った感情はなかった。ただ、一抹の索漠とした想いが心を通り過ぎた気がした。


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