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美しき姦婦たち
【その他 官能小説】

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十八歳果実熟れ頃(1)-4

(12)

 美緒もきっとファミレスが好きなのだろう。それなら電話がきたら駅で待ち合わせたほうが無駄に歩かなくてすむ。何時に到着するのかにもよるが、坂崎は当日の朝までそんな心積りでいた。だが、気が変わった。
(家にいよう……)
食事は何か取ろう。
 考えてみれば一晩しかないのだ。くつろいだ中で少しでも長く二人きりでいたい。若い体を眺めていたい。美緒の胸はどんなだろう。腰のくびれは、尻は、太ももは。……
 限られた時間だ。できるだけ近くでじっくり肉体の観察したい。
 彩香の時は『伯父』として迎えたが、今回は初めから思惑がちがう。匂い立つ乙女の体を視姦しようと待ち構えているのである。
 体のあらゆる形状、姿態。それらをさりげなく頭に焼き付けなくてはならない。それには少しの時間ももったいない。周囲を気にせず集中できる家の方がいい。

 その日は朝から落ち着かなかった。
(何時頃になるのか……)
早く来るように伝えてあったが、特急でも二時間ほどかかるのだから昼近くにはなってしまう。上野からここまで四十分、不慣れなら一時間。到着可能な時間はわかっているのに気になって仕方がない。

 坂崎はなかなか鳴らない携帯を何度も開いて見た。電話がくることになっている。どこからとは訊かなかったが、勝手に上野だと思っていた。そこから地下鉄を乗り継いで来る。出前の注文はそれからでも間に合う。
 布団も干してあり、風呂場や部屋の掃除も念入りに済ませた。浮き立つ心が時間とともに高まってくる。
(まるで恋人を待つ心境だ……)
坂崎は自嘲気味の笑いを洩らした。


 午後三時を回っても連絡がない。よほど真希子に聞いてみようかと思ったが、自分にやましい気持ちがあるせいか、ためらいが先に立ってしまう。

 何気なく窓に目を向けて布団を干しっぱなしだったことに気づいた。
 ベランダで布団を叩いている時である。
「伯父さーん」
見下ろすと道路で手を振る美緒がいた。満面の笑みで白い歯を見せている。
「何号室だっけ」
「四○八」
「わかった」
坂崎は手すりに身を乗り出して建物に消えていく美緒を追った。
 実は初め、美緒とはわからなかった。制服を着て、今日来ることになっているから認識できたようなものの、
(変わった……)
四階からでもはち切れそうな胸の膨らみが揺れるのが見てとれた。
(あんなになったのか……)
しばし立ち尽くすほど、それは見事な乳房である。
(目の保養……)
どころではない。毒になるほど刺激的であった。
(あの女肉が目の前で芳香を放つのだ……)
坂崎は足元が覚束なくなった。


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