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美しき姦婦たち
【その他 官能小説】

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十八歳果実熟れ頃(1)-2

(11)

美緒への想いを膨らませながら、彩香の匂いや感触はいまだに実感を伴ったように残っている。昂奮が覚めやらない。
 自制を唱えつつ、それは呆気なく崩壊してのめり込んだ。久しぶりのセックスに溺れたといってしまえばそれまでだが、放尿まで受け止めた痴態は自分でも信じられない部分がある。それほど酔いしれ、果てに錯乱した。
(それは……)
『初めての若い女』だったからかもしれない。彼には思春期に当然あるべき同年代の『女』への鮮烈な性欲の発露、妄想がほとんどなかったといっていい。なぜなら、そこに至る前にどろどろに絡みつく大人の性の世界に呑み込まれてしまったからである。
 彩香と同じ十六歳の夏、彼は高校の友人の母親と事に至った。

夏休みに泊まりがけで遊びに来いと誘われて行ってみると、
「あら、高校のお友達?」
インターフォンから声がして、間もなく母親が現れた。
「こんにちは」
「あら……」
やや慌てて胸に手をやった。胸元が大きく開いたキャミソール姿だったからだ。『子供』と思って油断したようだ。坂崎はすでに百七十センチを超えた大人の体格であった。

「いま田舎へ行ってて、明日帰ってくるの」
話をして、坂崎は日を間違えていたことに気づいた。
「そうだ。勘違いしてました……」
言ってからすぐに辞さなかったのは彼の目を捉えて離さなかった目の前に揺れる豊満な乳房である。腕では隠しきれない谷間、突き出た乳首。
(下着を着けていない……オッパイがそこにある……)
彼の股間は条件反射のように瞬く間に勃起した。羞恥もなく、むしろ見せつけるごとく立ち尽くしていたのはそれほど刺激が鮮烈だったということだったかもしれない。
 薄い夏ズボンを押し上げ、なおも盛り上がる股間を母親はたしかに見た。 

「せっかく来てくれたのに……」
言いながら彼女の視線はめまぐるしく動く。その目は何度も下半身に向けられる。
「また、来ます」
「暑いから、冷たいものでも飲んでいったら?」
「はい……」
母親の目元はうっすらと赤い。微妙な心理は理解できなかったが彼女の変化の意味が勃起にあるという性的感覚はわかる。

 部屋に通されてソファに座ると股間部はさらに強調され、ゆったりしたズボンなのでピクピク動くのがわかる。

 母親は相当な葛藤があったにちがいない。
 学校のことや家族のことなどとりとめのない質問が途切れて沈黙ののち、ごくりと喉が鳴った。
「汗、かいたでしょ」
「はい……」
「シャワー浴びたらさっぱりするわよ」
「はい……」
上目使いに彼女を窺うと引き攣ったような微笑みがあった。

 あまりに素直な返事は意外だったかもしれない。息子の友達が訪ねて来てシャワーを勧めている。不自然な成り行きなのに劣情した彼女は自分を見失っていたと後に思った。すんなりと段階が進んだことで理性の糸は切れたといっていい。何をしようとしているのか、わかっていても行動を止めようがなかったのだ。

 シャワーを浴びていると息を弾ませた母親が全裸で入ってきた。
「あたしも汗かいて、浴びようと思ってたの……」
そそり立ったペニスに一瞬釘づけになった彼女は、
「坂崎くんだったわね」
「はい……」
手が伸びてきて、あとは身を任せるだけだった。
「これは内緒よ、内緒よ」
うわ言のように口走りながら、
「いいこと教えてあげるから。言う通りにしてね」
坂崎は黙って頷いた。

 不思議なことだが、初めての体験で昂奮しているにもかかわらず、どこか醒めている自分がいた。おそらく彼の母親より年上だと思われる。そこに無意識に目を瞑っていたような気もする。が、心の綾はわからない。眼前に揺れる釣鐘のような乳房が彼を捉えていた。


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