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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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マツリノヨル-7


(……精さえ食わなきゃなぁ……)

 パルに食われるとかなり疲れる。
 油断するとギンギンに勃たされてたりするので、いっそのことヤリたいお年頃なのだが、その後の疲労を考えると突っぱねて自分で処理するしかない。
 パルの食べる『精』は精液という意味ではない。
 勿論、精液も好きらしいのだがそれよりも『精力』……生命を育む『力』がパルの食料。
 だから精液を飲んでもおやつ程度にしかならないのに、1人で処理するテオの横で勿体無い勿体無いとパタパタ暴れながら騒ぐパルは、結構可愛かった。
 直接触れてなければ『精力』を食われる事は無いので、仕方なく「顔射してやる」と言うと、口を開けて待つ仕草が雛鳥みたいだったなぁ……と思い出し、思わずぷっと吹き出した所を、踊るパルにばっちり見られる。
 パルは怪訝な顔をして頭の上で指を回した。
 頭は大丈夫か?と言いたいらしい。

(やっぱ可愛くねぇ)

 テオはシッシと手を振ってパルを追い払う仕草をした。
 するとパルはべーっと舌を出して舞台に戻る。
 パルが舞台に戻ると音楽がクライマックスを迎え、会場が一丸となって盛り上がった。

ジャジャンッ

ワアアァァァァ

 曲が終わると観客が大きな歓声をあげ、色んな物が飛び交う。
 空のカップや帽子……何故か下着まで。
 そんな中、舞台上の楽団とパルは深々と頭を下げた後、手を振って舞台から降りていった。


 興奮冷めやらぬ会場はその後も多いに盛り上がっていた。
 人混みの中をテオはパルに捕まらないように、こっそりと会場を後にする。

「……テオちゃん……」

 その背中に小さい声がかかり、テオは背筋をビシッと伸ばした。
 恐る恐る振り向くと、そこには頭からすっぽりと外套を纏ったリュディが立って居た。

「リュディさん」

 テオはキョトキョトと周りを見渡す。

「……パルは……食事に行った……」

「あ、そうですか」

 次、会ったらご馳走してね、とか言っていたのに別の食材が良かったらしい。
 自分だって、会ったら食わせてやるよ、と答えておいて逃げようとしていたクセに、テオは何となくムッとした。

「……だから……泊めて……」

「はい?」

「……食事の場所……私達の宿使ってるから……」

 どうやら帰るに帰れなくなったようだ。



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