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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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マツリノヨル-6


(へぇ……綺麗だな……)

 軽快なリズムの音楽もかなり良い。
 途中から楽団も舞台にあがってきて、その内の1人、フルートを吹いているのがリュディだった。
 リュディもロングワンピースを着ていて、一緒に旅をしていた時と段違いの美しさ。
 サラサラと揺れる緑がかった金髪が何とも言えず魅力的だ。

「な?良いだろ?」

 サムが振り向いてテオに声をかける。

「ああ、綺麗だな」

 綺麗だしウキウキしてくる感じが良い。
 来て正解だっただろ?と満足そうに言ったサムは、舞台上のパルに歓声をあげた。
 パルはそれに応えるように舞台から飛び降りて観客を巻き込む。
 巻き込まれた観客はパルと踊り、パルが離れると近くの人を誘った。
 そうやって次々と踊りの輪が広がって、会場全体が踊り出す。
 テオも完全に巻き込まれ、観客達と一緒に踊った。

「パルティオちゃ〜ん」

 サムの声を聞き付けたパルがくるりと振り向く。
 サムを挟んでテオとパルの視線がぶつかった。
 パルは一瞬驚いたように目を丸くしたが、直ぐに笑顔になりサムに近づく。

「わっわわっホントに来たっ」

 自分で呼んでおいて何を言ってるんだ、とテオは苦笑するが、サムはわたわたと完全にパニクっていた。

「こんばんわ♪」

 パルは右手できゅっとサムの手を握ってくるりと回る。

「わわっ」

 サムは引きずられるようにして空いたスペースに移動し、パルのリードで踊った。

「しっかりしろぉっサム!」

「ううううるさいなぁ」

 テオがからかうと少し落ち着きを取り戻したサムがパルをリードしだした。
 サムに合わせて上手に踊るパルを、テオは笑いながら見ていた。

 まさかこの女が魔物だなんて誰も思わないだろう。
 一般的に魔物イコール人間に害を為す生き物だ。
 でも、テオは魔物にも心があり誰かを愛する事が出来るのを知っている。
 産まれた時からそういう魔物が近くに居たから……ただ、その魔物はかなり特殊だったし他に同じような魔物が居なかったのも事実。

 だから、パルに会えた時……実は嬉しかった。

 人間と一緒に旅をして、笑って怒っていじけるパル……そして今は沢山の人間と踊っている。



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