マツリノヨル-8
「安宿ですよ?」
「……良い……」
リュディはコクリと頷いてテオの横に並ぶ。
『ピッ』
「お?ピィじゃん♪ちょっと見ない間に大きくなったんじゃねぇ?」
リュディの外套の隙間から出てきたピィは、確かに1.5倍程大きくなっていた。
『ピピ』
テオの腕に絡みついたピィは、誇らしげに尻尾を揺らす。
クスッと笑ったテオはピィが絡んでいる手で、リュディの手を掴んだ。
「行きましょう」
テオはリュディの手を引いて人混みの中を歩きだす。
それによってリュディが真っ赤になっている事には、全く気がつかなかった。
その頃
パルは美味しい『精』を持っていそうな冒険者を捕まえていた。
筋肉隆々、良く焼けた肌、強い酒を飲んでいたにもかかわらず足取りもしっかりしている。
その男を誘ったパルは、いつも通り相手の宿に行くつもりだったのだが、男はさっきエザルに着いたばかりで宿をとっていなかったうえに、宿は何処も満室だった。
誘った手前、自分の宿を使うしかなくなり、リュディに事情を話すと、彼女は「テオの所へ行く」と言って出ていった。
リュディはテオが来ていたのを知っていたのか?
舞台からかなり離れた場所に居たテオを、舞台から降りる事のなかったリュディが見つけたとは考えにくい。
パルもテオが来ていたと、リュディには言っていなかった。
それでも彼女は迷う事なく人混みに消えて行ったのだ。
(テオの宿、知ってたのかな?)
それとも、自分の知らない所で会っていたのだろうか?
胸がチクリとしてモヤモヤする。
顔をしかめたパルは痛む胸を擦り、首を傾げた。
(?……ま、いっか)
良く分からない症状だったが、パルは気にしない事にして男がシャワーから出てくるのを待つのだった。
5分位で男がシャワーから出てきた。
腰にタオルを巻いただけの姿は、鍛えられた身体がより一層際立って見える。
パルは舌で唇を舐めながら上から下まで眺めた。
「おいおい……物欲しそうな顔だな?」
男は苦笑してパルに近寄る。
先にシャワーを浴びていたパルもタオル1枚……男はそれに手をかけると一気に剥ぎ取った。
砂漠を旅してきたとは思えない真っ白い肌……ツンと上を向いた大きな胸……乳首は既に勃ち上がり、乳輪もぷっくりと膨れている。
男はごきゅんと生唾を飲んでパルの腰を引き寄せた。