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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・下編〜-7

『良いわ、それくらい…
貴方………幽霊なの?』
ストレートに聞いてみるとキシンは首を傾げた。
『俺が幽霊………? なんで?』
『………だって………貴方はもう………』
途中で言葉を切らせる。 言ってしまったら、キシンが消えてしまうような気がしたのだ。
『別に、俺はアルネちゃんが会いたいと思ってくれれば会えるよ……』
『じゃ、じゃあこれからも会える?』
キシンは頷いて、こう言った。
『会いたかったら、夜にここの窓を開けておいてくれ………
夜の間、俺は君に会えるよ。』
言い終わるとキシンは窓に足をかけ、私が何か言う前に外に出ていってしまった。
『キシン!?』
慌てて外を見るが、そこにもうキシンの姿は無かった………


『何なのかしら……?』
『はにゃにゃにゃ………』
それから数日間は正に意識は完全にお空の上。
キシンのことを考えていたら無意識の内に手がゼロを捕えて、いじり回していた。
『アルちゃん、ノーノー、ゼロゼロくすぐりに弱いんだよ〜〜〜』
たまたま私の近くに居たゼロは災難だった。
やっと私が正気に戻ってゼロを離すと、くすぐりによって体力をかなり消耗しているようだ。
『アルちゃん………もしかして紅館最強………?』
ヨロヨロと私から離れて行くゼロが呟いた言葉だった。
『う〜ん………』
椅子に座り、片手は考え事をするために頬杖をつき、もう片方の手はまるで触手の如くクネクネと獲物を探していた。 もちろん本人に自覚はまったくない。
『私……やっぱり尻軽なのかしら………?』
『ア、アルネさんが……?』
あら? と思い、意識を戻すとシャナが自分の膝の上に乗っていた。
どうやら触手にかかったようだ。 何やら息を切らせているし、顔も赤い……
『紅様と別れてすぐなのに…なんだかモヤモヤと…』
『あの………アルネさん、私ですか?』
へ? と思い、触手の位置を確認するとシャナの胸の下、ヘソの上辺りをモミモミと揉んでいるではないか。
『あらやだ、ごめんなさいね。』
『は、はい………』
ペシリと自分の手を叩く。
私から解放されるとシャナは服装を整えた。
『あの……悩むなんて良くないですよ、アルネさんならきっと上手く行きますから、悩まずに行動に移してみてはどうですか?』
『………そう……かしらね?』
行動に………はて、この場合どんな行動を取れば良いのだろうか?
『シャ〜〜ナ〜〜〜♪』
また、う〜んと悩み出すと向こうから紅様が………
『紅様………』
………もの凄い緩んだ表情でやって来た。
そして、来るといきなりシャナを抱き締めてしまった。
(幸せ………過ぎなんじゃないかしら?)
どうもシャナを前にした紅様に知的とか冷静という言葉が当てはまらない……
(賢者も恋の前には馬鹿になる?)
ただ、これでよく分かった。
キシンに会う前の私なら、こんな紅様とシャナを見たら嫉妬で狂っていただろう。
だが、今は仲の良い二人ねと溜め息をつける余裕がうまれていた。
(本当に……完全に諦めがついてるわね。)
ベタベタとしている二人に少し呆れつつ部屋に戻った私はソワソワしていた。
(えぇと、これとこれで……これ着て………)
夕暮れで、そろそろキシンが来る時間なのだ。
私にとってはデートみたいなものだろうか?
長めだが、普段はまったくはかないようなスカートをはいて、軽くオシャレをして待っている。
(なんだか、若返ったみたい………)
と言っても、エルフなのだから見た目は若いままだが。
しかし思えば、紅様とはこんなオシャレをして会ったりはしなかった。


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