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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・下編〜-6

『…まったく、良い?
あなたは紅様の…ん、なんて言うのかしら…
紅様の愛ってものを少なくとも私以上に受けてるわ。
紅様は私のことを仕方なく抱いてるようなものだもの。』
正確には抱いていた、だ。 もう抱かれないのだから。
『仕方なく…ですか?』
シャナが不思議そうに私を見る。 実は私も不思議だ、何故こんな話をしようと思ったのか…?
『…昔ね、紅様は間違って私を抱いたのよ。
そう、あれは紅様の奥様が亡くなった時ね…』
『…シャルナ様?』
シャナの口からシャルナの名前が出た。
『知っていたの…?
そうシャルナ様、あなたに良く似たお姿だったわ。
内面はちょっと似てないけど。
シャルナ様が亡くなって、しばらく経ったある夜、一人悪夢にうなされる紅様に処女を、ね。』
100年前のことを思い返して、少し笑った
『あの方、私を抱いたこと覚えてなかったもの。
朝起きて、私と寝たとわかったら大謝りだったわ。 フフ、後にも先にもあれだけ謝られたことは無いわ。』
『…とりあえず、元気になりなさい。
励まし方とか、わからないけど、元気にね。
あなたが落ち込むと紅様も落ち込むわ…』
立ち上がり、ふと思ったことをシャナに聞く。
『一つ聞いて良いかしら?
あなた、なんで紅様が好きなの?』
『え…えと、その…』
シャナは理由が思い付かないようで、う〜んと考え込んでいた。
『なんとなく…かしら?
その、理由が思い付かない感じ?』
そう尋ねるとシャナはコクリと頷いた。
『わかったわ…さぁ、そろそろ行きなさい。 もう掃除の時間は終わりだから、帰って夕食…いや、あなた、この館の三階に行きなさい。
紅様が居るから。』
紅様のことだから、今頃またシャナさんのこと考えてそわそわしているだろう。 相変わらず我慢が苦手な人なのだ。
『この白竜館はね、一階は執務室とか事務関係だけど、三階は紅様の自室があるのよ。 紅様に言ってね、夕食は運びますって。』
シャナの背を押し、階段を登っていく。
『あの、アルネさん…』
『何かしら?』
シャナが振り返り、私を見る。
『…ありがとうございました。』
(えっ………?)
シャナが頭を下げて、お礼を言うと、私の目に一瞬シャルナ様が写ったのだ。
私はつい笑顔になってしまう。
『あの、何が面白いのですか?』
『え? フフ、紅様の言ってたこと。 間違いじゃなかったんだなぁ〜って。
…私が間違ってたんだって』
私は今はっきりと再確認した……この子は外見も、そして心もシャルナ様の生まれ変わりだ………
『ほら♪ 早く♪』
シャナを急かせ、階段を上がらせた後、私の心は今日の天気と同じ晴れになっていた。

夜になり、紅様とシャナさんに夕食を届けた後自分の部屋に戻った。
部屋に入り、明かりをつけようとしたがふと窓が空いていることに気がつく。
『………誰?』
窓際に人が立っていた。
それは昨日と同じ感じ、キシンだった。
『キシン! キシンなの?』
キシンは呼ばれると嬉しそうに微笑み、急に慌てだした。
『ごめん、部屋勝手に入っちまった………』
間違いなくキシンで、そして私が初めて会ったときと同じ姿だ。


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