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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第15話-24


「隼人さんがいないといっても、仙石さんもいれば、響さんもいる」
 大和は“東西交流戦”で、仙石と同じチームで戦ったこともある。突出した能力があるわけではないが、諸事にまとまったプレーをする選手であり、主将を務めるだけあって、状況把握と判断力に優れたものを持っていた。
「当たり前だけど、強いチームに変わりない」
「うん」
 桜子とて、油断は微塵も感じていない。“多士済々”というべきチームカラーは健在であるし、絶対のエースがいなくとも、グラウンドで試合に臨まんとしている法泉印大学のメンバーたちの顔には、前の試合とは変わらない落ち着きがあった。

 ギンッ…

「アウト!」
 グラウンドでは、一番打者の岡崎が鈍い当たりのセカンドフライに打ち取られていた。さすがに、前期日程や東西交流戦の初打席のように、初球先頭打者本塁打とはいかなかった。
「投げ方は横手に近いから、余計に角度を感じるな」
 ベンチに戻ってきた岡崎の言である。珍しくもフライになったのは、その角度に思わず顎が上向き、スイングがややアッパーになったらしい。
「あと、天狼院隼人の“色即是空”ほどではないが、微妙に手元で動いてくる」
 能面が投げている直球も、“ムービング・ファストボール”だということであった。
「アウト!!」
 続く2番打者の栄村は、フルカウントの末に、ショートフライに倒れていた。岡崎と同様、当たりに鈍さがあり、そして、フライになったのは、手元の変化に芯を外され、さらに、スイングが下からになっていたからだろう。
 特に、右打者である栄村にとっては、斜角の関係で背中からボールが迫ってくるように見えた可能性が高い。
「俺は凡退してしまったが、この試合のキーマンは“左打者”だな」
「そうですね」
 チームの中でも抜きん出た“実力者”である、岡崎と大和が交わす初回のベンチでの会話は、試合の指針を定めるものであり、それを耳にするほかの面々にとっては、聞き逃せないものとなっていた。
「「………」」
 このチームで左打者なのは、1番の岡崎、3番の雄太、6番の吉川、そして、前期の最終戦であった先の試合で転向した、7番の浦である。雄太は今、打席に入っているので、岡崎と大和の言葉は聞こえていないが、吉川と浦には、その声がしっかりと届いていた。

 キィン!

「!」
 そのキーマンのひとりである雄太が、一二塁間を抜ける安打を放った。岡崎が詰まらされた角度のある直球に惑わされず、しっかりと自分のスイングで振り切った結果である。
「キャプテン、ボールが見えているみたいですね」
「そのようだな」
 大和と岡崎にはそう見える、雄太の打席内での落ち着きであった。
「よし!」
 そんな大和の視線を背中に浴びながら、ウェイティングサークルでレガースを取り外した桜子は、意気揚々と打席に向かっていった。


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