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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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イタダキマス-8

 そのパルの背中には蝙蝠のような翼、お尻からは細長く黒い爬虫類のような尻尾が生えていた。

「ん゛?!」

 テオは目を見開いて驚愕し、同時にビキッと身体が硬直する。

「ん〜ふ〜ふ〜♪こんな砂漠の真ん中で獲物にありつけるなんてラッキー♪」

 唇を離したパルの黒い目の真ん中、瞳孔部分は赤く縦に伸びていた。

「……パル……」

 長い舌で唇を舐めるパルに、リュディが小さく声をかける。

「分かってるって♪死なない程度に……でしょ?」

 振り向かずに答えたパルは、顔に笑みを貼り付かせてテオの服を脱がせていく。

(なんだなんだなんだ?!)

 どうやら殺される事は無いようだが、いったい何をされるのか、とテオは口をパクパクさせた。
 どうやら声も出せないようだ。

「んふ♪ごめ〜んね?アタシってば魔物なの♪」

(魔物?)

「アタシにとっての食べ物は人間の精♪特に若い男の子の精はご馳走なんだぁ♪」

 そういえばパルは食事を取ってなかった。
 テオが見た限りでは水と飴玉だけ。

(……運が巡ってきたワケじゃなかったか……)

 まさか魔物だとは……テオは思わずぬるく笑ってしまう。

「殺したりしないから大人しくしててねん♪」

 そんなテオに股がったパルは、嬉しそうに唇を奪う。
 官能的にキスをされながらテオの頭の中は冷静だった。

(魔物ねぇ……じゃ、この金縛りはチャームか……)

 魔物独特の魔法で獲物を魅了して捕らえる……勿論、人間の魔法使いにも使えるが呪文も印も無しで使えるのは魔物だけだ。

(……死ぬわけじゃねぇみたいだけど、一方的なのは好きじゃねぇな……)

 そう考えたテオは、股がるパルの背中に腕を回した。

「ひっ!?」

 翼の付け根をきゅっと掴まれたパルは、息を飲んで背中を反らす。

「やっえっ?何で?」

 チャームをかけた筈なのにあっさり動いたテオから、パルは慌てて離れようとした。

「おとと」

「ひぁっ??」

 テオは上半身を起こしてパルを引き寄せ、反対の手をリュディに向ける。
 その手にはダガーに握られており、リュディを威嚇していた。

「魔物ね……リュディもか?」

 パルの翼の付け根を指で愛撫しつつ質問するテオに、パルとリュディは驚きを隠せない。
 パルはその愛撫に腰砕けになっている自分と、動揺しないテオに。
 リュディはテオの強靭な精神力と、隠し武器に。


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