投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

栗花晩景
【その他 官能小説】

栗花晩景の最初へ 栗花晩景 24 栗花晩景 26 栗花晩景の最後へ

芽吹き編(2)-7

 パンを頬張りながら、私は彼女の真意を考えていた。今日は私と泊まるつもりでいたと思えてならない。私に泊まる気がなかったらどうしたのだろう。強引に誘っただろうか。そして何より、二人で一晩を過ごすことに意識、意図があるのかどうか。突き詰めると想いはそこに行き着いた。

 ガスストーブのスケルトンが赤々と炎に染まっている。そのせいか細谷の白い顔は赤みがさしている。
「そろそろ電気消して静かにしてようか」
生活指導の教師が見回りの来ることがあるのだそうだ。

 電気を消すとストーブが思いのほか明るい。細谷の表情まではっきり見てとれる。
「明るいですね」
「寝る時消さないとね」
「寝られるかな……」
「横になると寝られるものよ」
細谷は立って、シーツをストーブの前に敷いて腰を下した。
「椅子って意外と疲れるわね」
校内ではまだときおり物音や声が聞こえてくる。

「みんな何時頃までやってるんでしょうか」
「去年は夜中でも声がしてたわ。寝ない人もいるんじゃないかしら」
ひそひそ話になっていた。
 細谷が手招きしてシーツを指差した。
「ここの方があったかいわよ」
言われるままシーツに座って膝を抱えると、彼女は目の前にいた。

「ほんとはね。去年ちょっと怖かったの。今日は安心。君がいるから。ふふ……」
「不思議な感じですね」と私は呟いた。
 不思議、と言ったのは、二人がそこにいる現実感であった。そして時間の感覚が空白に近づいていくような奇妙な想いが胸を流れ始めると、さらにおぼつかない自分がいた。
「ほんとね……」
私の言葉をどう捉えたのか、細谷はぽつんと応えて大きな目をストーブに向けていた。

「まだ眠くならないけど、横になった方がいいかしら」
カバンを置いたのは枕の代わりのつもりだ。
「ちょっと硬いけど……」
私もカバンを置いてみた。
「シーツ一枚しかないから、一緒に掛ければいいね」
シーツを横にして両端を折ると二人とも上体だけは被われる。しかしどうしても体が触れ合ってしまう。
 驚いたのは細谷の行動である。
「皺になっちゃうからスカートだけ脱いじゃう」
シーツで隠してはいたが、私のすぐ横でもぞもぞと腰を動かして脱ぎ去った。垣間見えた太ももと尻の肉感。畳んだスカートを腰を浮かせて椅子に置いた時にはピンクのパンティがのぞいた。

 振り向いた彼女の瞳にストーブの炎が映った。炎は私の心に引火して、脳を揺さぶった。思わず、腕は細谷を包んでいた。
「あ……」
細谷は一瞬身をこわばらせ、身をよじらせるのを私は押さえつけるように抱き寄せた。
「磯崎くん、どうしたの、どうしたの」
「先輩、先輩」
頬を擦り寄せて囁き、
「どうしたの」
彼女も同じ言葉を繰り返す。
 たっぷり肉のついた体は制服の上からでも柔らかい。背中をさすり、腰の辺りに触れるとスカートは穿いていない。下着である。
「磯崎くん、ちょっと待って、待って」
「先輩、先輩……」
「磯崎くん、あたしお姉さんよ、お姉さんよ」
言葉の合間に忙しなく息が洩れ、その悩ましさに昂奮してのしかかって胸を掴んだ。
「ああ……恥ずかしい……」
そむけた顔が歪んだ。

 大きな乳房である。ミチの倍はあろうか。揉むと身悶えして私の手を押さえた。
「だめよ、磯崎くん、だめよ」
言いながら体をくねらせ、震えるような声を洩らす。堪らなくなってもう一方の乳房に顔を押しつけた。
「ああ……そんなこと……」
彼女の柔らかな太ももに勃起した性器が密着している。腰を動かすと急な上昇が始まった。
 ミチの時のようにはなりたくない。腰を引いて動きを止めていると自分の鼓動が聴こえる。豊満な胸からは細谷の高鳴りも響いてくる。私の頭は彼女に抱えられ、女の匂いが胸いっぱいに広がった。

 私の手が胸から下へ向かう。その手は細谷に押しとどめられた。行き先を察知したのである。なおも進むと下着にかかる手前で力が込められた。
「いけないわ……」
声は掠れ、上ずって、その緊迫感が一段と欲情を高めることになった。
 彼女の手を逃れるのはたやすいことだが、強引に振り切る気にはなれなかった。細谷は全身で拒絶しているのではない。燃える感情とためらいが交錯しているのだ。

 攻防の末、私の口をついて出たのは彼女の名である。考えて言ったのではない。衝きあがる情欲が言葉になったのだった。
「栄子さん……」
その一言で拒む力が弛んでいった。
「磯崎くん……」
泣いているような声だった。

 腹部を這った手が下着をくぐり、一気に差し込んでさらに力が抜けた。
「あうう……」
手を入れて驚いた。下腹部のほぼ全体がびっしり陰毛で被われている。指に絡むほどの繁みである。
「いや……やめて……」
脚を閉じているがその先に進むと一帯は油にまみれたように濡れている。
(すごい……)
探るまでもなく指は亀裂に吸い込まれた。
「うう!」
栄子は呻き、腕を私に巻きつけてきた。
「ちょっとよ、すぐやめてね、ちょっとだけ……」
口とは裏腹に股間を開く栄子。指は根元までどっぷり浸かって淫蜜にぬるぬるになる。

 ペニスが唸り出した。パンティを下げようとすると初めて強い抵抗をみせた。
「だめ、それはだめ」
それを取り去れば最後の一線に突入することを意味する。おそらく彼女も未知の世界なのだろう。
 私の手を押さえる力はかなり強い。私に経験があれば脱がせることは容易だったろうが、その時はむやみに引っ張るだけでどうにもならない。肥っているのでなおさらである。
「もう終わり、ね、磯崎くん」
「ぼく、もう……」
「わかるわ。わかる。男子の気持ち。でもそこまでにして」
私たちが同時に動きを止めたのは人の声が聞こえたからである。


栗花晩景の最初へ 栗花晩景 24 栗花晩景 26 栗花晩景の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前