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性愛交差点
【その他 官能小説】

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性愛交差点-11

 シャワーを浴びていると口笛が聞こえた気がした。すぐに泣き声だと分かり、間もなく美佐子が鏡餅のような乳房を揺らしながら飛び込んできた。
「信彦さん、どうしよう。私オシッコ洩らしちゃった」
美佐子は本当に泣き顔だった。
「お義母さん、そんなこと何でもないですよ」
信彦は美佐子の肩を抱き寄せ、シャワーをかけた。
「どうしたらいいの?私、何でこんなこと……」
「二人で感じたからですよ。だから恥ずかしいことないんですよ」
耳に囁くと美佐子は子供みたいにしがみついて、
「こんなこと、初めてよ。したことないのよ」
シャワーの湯がマットに流れ落ちて雨音のように響いている。
「感じやすい人はそうなることがあるんです」
「ほんと?」
「そうです。お義母さんは素敵です」
実体験はないがアダルトビデオで観たことはある。
 信彦は彼女の項に唇をつけた。
「厭じゃなかった?」
「よけいに感じましたよ」
美佐子は顔を上げると唇を求めてきた。


 美佐子の布団が濡れているので信彦の部屋で寄り添った。キスをして、互いの体をまさぐり合った。
 その光景を他者の視覚として想定してみた。道ならぬ関係である。尋常ではない。しかし、混乱はない。倒錯した性とは思わなかった。小枝子がそうであるように、美佐子も他人であり、女なのだ。欲情して結ばれたこと、そのものには何も不自然はない。男と女と考える限り……。
 ただ、倫理に関わってくるとたしかに俯かざるを得ない。が、誰にでも秘め事はあるだろう。嘘もある。家庭を壊さなければいい。……信彦は、従順に横たわる美佐子を見つめ、赴くままの感情に流れることにした。

「たぶん、二十年ぶりくらい……」
美佐子は言った。セックスのことである。
 忘れていた、といってもいい。女としての体は終わったものと思っていた。
夫を亡くしたのは四十代半ばである。二人の娘は大学生で手はかからなかったけれど、仕事が忙しくて脇目も振らずこの齢まできてしまった。
「四十代では、まだ……」
「少しは淋しい気持ちはあったわ」
「誰か相手はいなかったんですか?」
「誰かって?」
「結婚の相手が……」
「再婚の話はあったけど、そんな気になれなかったわ。娘も年頃だったし」
「じゃ、一人でしたことは?」
美佐子はすぐに質問の意味が分からず、きょとんとしていたが、オナニーのことだとわかると顔を赤らめた。
「そんなこと、訊かないで……」
「だって、女盛りでしょう?」
話しているうちにペニスが勃ちあがって美佐子の手に触れた。思わず引っ込めた手を掴んでくっつけた。美佐子は鼻息を洩らして握った。
「教えてくださいよ」
「たまにはしたけど……何度もするようになったのは、ここへ来てから……」
「え?ここへ来てから?」
「ええ……」
「なんでーー」と言いかけて、美佐子の目を見るとうろたえるように視線が動く。信彦は察して顔が熱くなった。
「あなたたち、仲がいいんですもの。刺激を受けちゃうわ」
信彦は苦笑するしかなかった。
「聞こえますか?」
「はっきりとは……。でも、何となく想像できるわ。この間は小枝子がすごくて驚いた」
あの夜だ。
 美佐子は大きく溜息をつくと、いとおしむようにペニスを両手で包んだ。そしてむっくりと半身を起し、
「舐めていい?」
返事を待たずに信彦に跨ってきた。


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