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性愛交差点
【その他 官能小説】

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性愛交差点-1

 布団に入って間もなく、先に休んでいた小枝子の手がもぞもぞと伸びてきて信彦の腕に触れた。そして指先で二度突いて引き戻っていった。行為を求める合図である。条件反射のように彼の股間は変化をきたした。

 一呼吸おいて、彼は衣ずれに注意しながらできる限り妻に近寄っていく。小枝子はすでに布団の端まで寄っていて頭は枕から外れている。
 右手を滑り込ませて柔らかな腹部を撫でる。薄明かりの中、小枝子は上を向き、固く口を閉じて堪えている。
 滑らかな肌を摩り、指先が陰毛の生え際に差しかかる。下着は着けていない。彼が来る前に脱ぎ、布団の下に押し込まれている。

 彼の手は秘部には触れず、移動して乳房の裾野をゆっくりと巡った。二人きりならとっくに喘ぎを洩らしているところだが、今は隣の部屋に小枝子の母が寝ている。部屋の境には三棹のタンスが置かれてあるが、間仕切りは襖一枚なので音や声にはやはり気を遣う。

 両乳房の周囲をを交互に愛撫し、徐々に頂きへと向かう。渦を巻くように乳首を目指す。小枝子の胸がせり上がってきて、到達を待ちきれない様子である。だが、彼の指は寸前で下降していく。
「はぁ……」
期待を裏切られて小枝子は小さく溜息をついた。
 信彦の手は丹念な愛撫を繰り返す。胸を離れ、脇の下へくぐり、横腹、へそ、と循環し、それはもどかしいほどに遅々としていた。

 ふたたび乳房に戻った時、小枝子は彼の手を強く掴んだ。無言で乳首への直行をねだっている。それでも彼は膨らみをさすり、じらすように的を外して動いた。
 そしていよいよ、乳輪の粒を数えるように旋回してからいったん静止し、不意に突起を摘まんだ。
「うっ」
小枝子がのけ反って声を洩らす。
 さらに乳首を含めて全体を揉みあげ、また突起に移り、裏をかくように左の乳房に取りついた。小枝子の体が汗ばんできた。鼻息も不規則になる。

 小枝子の手が彼の下腹部に伸びてくる。まさぐるまでもなく陰茎は漲り、パジャマから飛び出している。握るのとほぼ同時に彼の指も妻の秘部を捉えた。
「くぅ……」
堪えて身をよじっていたために陰毛まで愛液まみれであった。
肛門へ続く半月の凸面を辿り、割れた稜線のぬめりの中を往復する。
「く、く……」
抑えた呻きが喉の奥で籠もる。静寂なので響くように聞こえる。

 一物を握った手に力が加わって小刻みに扱いてくる。快感に見舞われて体がどうしようもなくなってきているのだ。それでもまだ彼の指は肝心な秘核を外している。
(じらさないで……)
小枝子はそのもどかしさをペニスを扱くことで伝え、自ら脚を開いて求めてきた。
(早く……)
目を向けて首を振ってみせる。淫気が限界まで満ちてきているようだ。ここで不意に花芯に触れる。
「くぅ……」
小動物の断末魔みたいに喉が鳴った。陰核は指先を弾くほどに膨らんでいる。指の腹でさすり、圧迫する。
「もう、だめ……」
掠れた声で囁いた。彼も小枝子に絶え間なく扱かれて射精の兆しが起こってきている。しかし、挿入はまだだ。

 秘部への動きを続けながら、体勢を変え、もう一方の手で乳首を刺激した。上と下の突起を同時愛撫が進行した。
 小枝子の体が大きくうねる。体の動きと息遣いを聴きながら、頃合いを見計らっていた。もういつでも昇り詰めることが出来そうだ。あと少し、さらにぎりぎりまで……。

 引き攣ったように歪んだ妻の顔。その口端から涎が垂れた。彼の中指が膣口を突破したのはその時である。
「いっ、いっ」
続いて人差し指が加わった。小枝子の体が硬直する。指を抜き差しすると締め付けが起こった。そしてほどなく両脚を突っ張って痙攣が始まった。最初の絶頂が襲ったのだ。顎を上げ、頭は畳まで伸びあがった。

 まだ恍惚の中、小枝子は信彦を促す。布団の下にコンドームが忍ばせてある。
隣室の気配を気にしながら装着すると、小枝子は布団を縦折りに半分にして下半身をあらわにした。息をひそめつつそっと宛がい、体を預けて沈み込んだ。
 快感が貫く。声を呑みこんだ。
「くく……」
小枝子は目いっぱいのけ反る。激しく動くことは出来ない。が、上昇気流に乗るのにさほどの時間はかからない。

「イク」
耳元で小枝子が囁き、彼も掠れた声で応えた。そして腰を前後しながら堰を切った。
 夥しい放出が始まった。気の遠くなる陶酔感が下半身から全身に広がっていった。
 やがてしがみついていた小枝子の腕がだらりと解け、部屋には二人の息遣いだけが聞こえていた。離れ際、小枝子が唇を求めてきた。


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