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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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甘い囁き-3

スナップ写真を見ながら、佐和子は昔の合宿研修の出来事を昨日のことのように思い出していた。
あの時からだった、聡美が自分を「佐和子さん」と名前で呼ぶようになったのは。
白地にゴールドの縁取りがあるティーカップをソーサーの上に置くと、無音の室内に陶器が触れ合う音だけが残った。

聡美が思いつめた顔で独り言のように呟いた。
「私、その頃から、女の人じゃないとダメになっちゃったんです」
やはりそうだったのか。
QCTの時代から、聡美が男に興味を示さないことを佐和子は知っていた。
それがあの日暗がりの救護室で佐和子が見た、股の奥から染み出した粘液、あれが最初の出来事だったとすれば佐和子は責任を感じないわけにはいかなかった。
佐和子は、聡美の心のデリケートな部分に触れない程度を探りながら質問してみた。
「女の人から、もしかして、お尻の穴を愛してもらう?」
聡美は佐和子から顔を逸らしながら答えた。
「そうです。私、お尻の穴で感じてしまうんです。もちろん前も感じるけど、いつも両方じゃないとダメなんです」
聡美の強張った表情から、かなり気力を振り絞って答えていることが読み取れた。
「でも、男の人にだって、お尻の穴を愛してくれる人はいるんじゃない?」
と、さらに確かめるように質問してみた。
聡美は自分の性習慣について告白した。
「わたし、いつも自分でするんです。女の人を想像しながらするんです。男の人から愛されるなんて想像もできない。男からは触られたくない!」
首を横に振りながら答えた。
聡美にとって後ろの穴は女だけが入ることができる神聖な場所であった。

聡美は自らを憐れむように自嘲的な態度に出た。
椅子を下げ、片足を椅子の座面に乗せた。
そのまま少し脚を開くと佐和子から聡美の真ん中が見えるようになった。
「佐和子さん、見てもらえますか。私のここ」
聡美のコットンパンツの股間には僅かな染みが出来ていた。
佐和子から目を逸らしたまま言った。
「私、佐和子さんの浣腸のお話を聞きながら、こんなになってしまって」

聡美は自分の性的な関心が同性と「後ろの穴」に向かっていることを認識して戸惑いを感じていた。
コットンパンツの染みが動かぬ証拠だった。
この先、自分が男を愛せるようになるのか良く分からない。
どうしてこうなってしまったのかも良く分からない。
本当はいけないことなのかもしれない。
先のことを考えると不安になるから、なるべく考えないようにしている。
だけど今だけは少し楽になりたい。
たとえそれが根本的な解決にならなくとも…。

「もっと素直になれば良いのに」
佐和子はそう思った。
素直に私に慰めてほしいと言えばよいのに。
まるで新人研修の時と変わっていない。
仕方がない。また助けてあげようか。



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