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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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個室の中の格闘-2

QCTの新人研修では、毎年合宿研修のプログラムがある。
中部地方に会社の保養所を兼ねたセミナーハウスがあり、そこで1週間の泊まり込み研修を行うのである。
研修は意外とハードなものであり、座学のほかグループワークやロールプレイング、共同での研究発表まであり、研修が終わる頃には基礎的な業務知識と社員意識が身に付く仕掛けになっていた。
佐和子は、聡美が入社した年の新人研修で講師の一人を務めていたのである。
聡美はその年の新人の中でひときわ輝いていた。
長身でスタイルが良いばかりでなくスポーツもできた。
合宿ではグループ対抗のバレーボールの試合があり、上手なことはもちろんだが、その美貌に男性新人たちの視線は釘づけになった。
講義で聡美が講師に質問すると、関係のない男子がそこに割って入り反論する場面もあった。
それは男子が聡美を意識している証拠だった。
講師からすれば微笑ましいことであったが、聡美本人には迷惑な話だった。
暇な様子を見せるとすかさず話しかけてくる輩も出てくる始末だ。
隙を見せることもできない。
またその様子を見て妙な対抗心を燃やす女子も出てきた。
本人の意思と関係なく、負けられない状況が作られた。
聡美は自分が男からも女からも常に見られていることを意識せざるをえず、自らの心から個人的なやすらぎの占める余地がだんだん減っていった。

ある日の夕食後のことである。
ビデオの上映会があるということで、他の皆は別棟にあるホールに出払っていた。
聡美が長らく待ちわびたチャンスだった。
一人トイレへ向かう。
あたりを見回し誰もいないことを確認するとトイレの個室に入り鍵をかけた。
便座に座って小を出し終えると聡美は思い切りいきんだ。
虚しい音の、いつ終わるか分からないような長いガスが出た。
しかし、肝心のものは出る気配がなかった。
聡美は舌打ちをした。
もともとトイレタイムをゆっくり取るタイプである。
食後に精神的な落ち着きと開放感を得てから排出する。
自宅のトイレ以外では落ち着けないのであまりしない。
この合宿研修はそんな聡美にとってただでさえ不利な排便環境なのに、それに輪をかけて上記のように落ち着ける時間がなかった。
聡美は自分が便秘になってしまった状況に怒り、神経質になっていた。
どんなことがあっても自分の便秘を皆に悟られたくない。
しかしどうだろうか。
下腹部の重苦しさは日ごとに増してきている。
このままでは、いつか腹痛を起こすに違いない。
それが昼間に皆の前で起きたらどうしよう。
そんなことを連想すると血の気が引いた。
今、出してしまいたい。
全力で今のうちに…。
そう決意すると、聡美の闘いは始まった。
「んん〜っ!!」
知らず知らずのうちに、呼吸は荒くなり声も大きくなっていった。
額に汗が滲み、地団駄を踏んで頑張った。
闘志に満ち溢れた唸り声が続いたかと思えば、その後に弱音を吐くような声が聞こえる。
プスプス…
虚しい音を立ててガスは出るものの、絶対にそこにあるはずの物は顔を見せない。
また舌打ちをする。
「あぁ、ダメだわ…」
 聡美は便座から腰を浮かせ、両手で尻を割り開き、少しでも便が出やすいようにして力んでみた。
しかし、尻穴から音沙汰はなかった。
ふと我に返り、両手で尻を開いた自分の姿を思うと屈辱で顔が赤らむのを感じた。
聡美の大腸内に発生した塊は、最初は水で流せるような物だったはずだ。
それがいつの間にか、押してもビクともしない岩石へと成長し、もはや自分では動かせなくなっていた。
怒りの気持ちは、やがて焦りへ、そして救いを求めるような気持ちへと変化していった。
「お願い、出てよ…、困るのよ」
誰かの助けが必要だった。



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