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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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個室の中の格闘-1

聡美の運転するクルマは、マンションが林立する新しい住宅街を走っていた。
「それ以来よ。退院してからも便秘だけは治らなくてね。…ごめんなさいね。こんな話しちゃって」
助手席で窓の外を眺めながら、佐和子は話しを終えた。
「いいえ、そんなことないですよ。ありがとうございます、お話してくれて」
聡美はかすれたような声で答えた。
聡美はパンツスタイルで外出してきたことを後悔していた。
なぜなら、スカートに比べパンツは体調の変化により体液が溢れ出た場合、外から見て目立ってしまうからである。
悟られないように平静を装ってクルマを運転しているが、佐和子の話を聞きながら聡美は自身の花芯を熱くしていた。
花芯から溢れ出た熱い粘液がショーツの内側に流れ出るのを感じていた。

聡美のクルマが佐和子の自宅がある高層マンションの敷地に入る。
佐和子と夫は、永住するかどうかは別としても、少なくとも娘がある程度大きくなるまではここに住むことを考えていた。
佐和子と聡美は、佐和子のスナップ写真を広げながら一緒に紅茶を飲んだ。
一緒に化粧品メーカーで働いた独身時代の写真から娘と行楽地で遊ぶ最近の写真まであった。
先ほどクルマの中で佐和子が話した便秘エピソードが聡美の頭から逃れない。
スナップ写真の佐和子の下腹部にどうしても視線が向いてしまう。
娘の出産から便秘体質に変わったという。
独身の写真と娘と一緒に写っている写真では、お腹の膨らみに違いはあるのだろうか。
「ねえ、佐和子さん。出産でそんなに体質が変わっちゃったなら、もう出産はしたくないですか?」
意外にも本質を突くような質問を受け、佐和子は少し驚いた。
「うーん。なかなかの質問ね。私はまた出産しても良いと思っているわよ。さっき話した入院中に苦労した病院でも、娘を抱くとそんな辛さも吹き飛んだものよ。可愛いものよ…。娘を抱いて私が幸せな気持ちになる分、神様は嫉妬して私のお尻に栓をしちゃったのよ」
その語りは幸せに包まれていた。
聡美の心は乱れた。
男と愛し合い、出産、子育てをする。それが当たり前なのだろうか。
そこから逸脱する災の種火が燻ぶっている私は間違っているのだろうか。
聡美には理解できなかった。
理解できないというよりは焦りのような混乱という方が合っているかもしれない。
目の前にいる佐和子がその一因になったのだから。 

聡美は胸につかえていた昔のことを思い切って話題にした。
「佐和子さん、私がQCTに入社した時の新人研修のこと、覚えていますよね?」
QCTとは、聡美の勤める化粧品と生活用品を扱う大手メーカーのことだが、正式な会社名を省略してこのように呼ばれていた。
聡美の新人研修、それは佐和子にとってもそれは忘れられない経験だった。
佐和子と聡美が仲を深めるきっかけであるばかりでなく、共有する秘密の体験をしたのが新人研修だった。



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