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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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深夜のナースステーション-3

もう一度浣腸、という言葉が耳に残った。
それだけは避けたい。
佐和子は壁を向いた横向きの姿勢のまま両手を顔の前で祈るように合わせ、指を折り曲げ掌を組んだ。
便意に突き動かされ、身をよじるように肛門のトイレットペーパーから逃れようとするが、看護師は指圧を強め逃さない。
佐和子が苦しそうに根を上げると、看護師は佐和子に同情するような目で声をかけた。
「分かるわよ…。私も、浣腸、何度もされてるから」
佐和子は、何気なく言った看護師の言葉が、自分が苦しい中で告白してくれた貴重な言葉のように思えちょっと嬉しくなった。
「看護師さんも便秘なんですか。こんな、浣腸…、するんですか?」
「ええ、してもらうことありますよ。私も便秘なの。看護師って便秘の人多いのよ、実は」
看護師は、照れ隠しをするように少し笑った。
佐和子の苦しい努力は実を結びつつあった。
佐和子のS字結腸内で重い岩石のようにビクともしなかった硬便は、魔法の薬液の波動により突き動かされ、航海のために錨を上げつつあった。
「はい。よく頑張りました。それじゃトイレに行きましょうね。すぐそこにありますからね」

佐和子は看護師にサポートされながら固い処置ベッドから起き上ると、いつの間にか便意との闘いで全身が汗ばんでいるのを感じた。
お尻を押さえながらよろよろとトイレに向かった。
出た便は流さないように言われていた。
トイレの個室でしゃがむと、先ほど入れてもらった浣腸液が濁りを伴いながら堰を切って出てきた。
便意の苦しみに唸りながら力むと浣腸液に混じりながらガスが排出された。
この数日間佐和子を苦しめていた圧縮されたガスは夜空を切り裂く爆竹のように音を立てながら浣腸液とともに便器に放出された。
聞こえないでほしい。
でも静まり返った夜中に響かないわけがない。
次に、大きな黒い塊が肛門を押し広げ出てきた。
卵でも産んでいるような錯覚がした。
佐和子は悲鳴にも近い声を上げて卵を産み落とした。
どしりと音がして便器の底水が跳ね返った。
その黒い物体は、産み出されて命を吹き込まれたかのように野獣のような凶暴な臭気を放ち始める。
そして、居心地の良いお腹の中から外に放り出されたことを恨み、産みの親を攻撃する。
佐和子はその刺激に思わずむせ返った。
続けて二個目の重い卵を産み落とすと、絞り出すように軟便が次から次へと出てきた。
必死で腹痛と闘い便を絞り出すうちに、見る見るうちに便器の中は自分の便で溢れかえった。
水で流してしまいたい衝動に駆られたがそれは禁止されている。
途方にくれながらも必死で絞り出すことしかできなかった。

トイレのドアが弱々しくカチャリと開き、佐和子が申し訳なさそうに出てきた。
まるでスポーツの後のように顔が上気している。
お疲れさまと声をかけ、看護師が代わりにドアのなかに入ると驚嘆の声を上げた。
「わぁ…、出たわねえ。良かったわ。これだけ出れば大丈夫ね。でも、これだけ溜め込んでいたんだから、苦しかったでしょう」
佐和子は、自分が腹の中に抱え込んでいた物をすっかり見られてしまい、看護師の顔を正視することができなかった。
ただ、一つ言えるのは、下腹部が嘘のように軽くなり苦しさが吹き飛んだことだった。
先ほどまでの自分が奮闘している姿を思い出すと、むず痒い恥ずかしさを覚えたが、それと引き換えに便秘の苦痛から逃れられた安堵感を得たのであった。
佐和子は急に眠たくなってきた。
「本当に、ありがとうございます。私、なんか、すごく眠い…」
それだけ言うのがやっとであった。
佐和子は一人で病室のベッドに帰ると、途端に泥のように寝入った。
浣腸の後片づけを終えた看護師が佐和子の様子を見に病室へ行くと、疲れ切って寝入る佐和子の横顔が見えた。
「ふふ、安心したのね。良かった…」
看護師はその様子を見ながら微笑んだ。



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