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少しずつ
【青春 恋愛小説】

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少しずつ-4

サークルのおかげで、前よりも男の人とは話せるようになったし、男友達と呼べる人もできた。
でも、相変わらず、コータとの距離は縮まらない。
彼は明るい性格で男女問わず人気があるようだ。でも、私は…。

「ゆかり、コータってよくない?」

とは、同じマネージャーの加奈子。

「サークルの中ではいいほうかもね」

うそです。
でも、言えないよ。本当の気持ちは。
意地っ張りでかわいくないとは思うけど。

「ゆかりは厳しいなー。ゆかりは話すと気さくなのに、近づき
がたく見えるのは理想が高いからかなぁ」

「そんなことないよ。で、コータがどうしたの?」

「コータとはよく飲んだりしてるのは知ってるでしょ?あいつ
面白いし、なんかいっかなーって思ってさ。こんな感じでいつ
かは付き合ったりするのかなーって最近ちょっと思うんだ」

「あれ?飲み屋で知り合った人はもういいの?」

「あれはなし。結構ひどいヤツでさ、コータがいるから忘れら
れそうな気がする」

「そっか。頑張れ。陰ながら応援してるよ」

また、うそをつく。
コータが誰かと付き合うって考えたくない。

「ゆかりって、いいよね。ゆかりが男だったら絶対付き合うの
にな。」

「あはは」

いいんだ。
女友達は大事にしないと。
今日は一人で飲むか。


暗くなってきたところで今日のサークルは終わり。
あちこちで、おつかれの声が聞こえる。

「おつかれー」

「お前、まだやってくの?」

「ボール倉庫にしまうだけだよ」

「そうか。じゃな。」

やだ。本当は行かないで。
足音が遠くなっていく。
ちょっとだけ泣きそうになる。
暗いから下向いてればわかんないよね。

「中川!ちんたらすんな。」

「わ、びっくりした。コータ、帰ったんじゃないの?」

びっくりさせないでよ。嬉しくて目がますますうるんでゆく。

「今日は親切な俺が少しだけ手伝ってやる」

「ありがとう」

「なにお前泣いてんの?」

「砂が目に入っちゃってさー」

意地っ張りは、うそつきにもしていく。


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